アルミ圧延品の国内販売の流通について

アルミ板 解説

アルミニウム圧延品(板・押出形材・箔など)の国内販売の流通について解説します。

アルミ圧延品は、日本国内で製造された圧延製造された後、メーカーから出荷されて直接エンドユーザーなどの製造業者に出荷される場合もありますが、少なくとも請求書や納品書などの伝票は、圧延メーカー →商社・流通業者(問屋)→加工業者→エンドユーザーという流れで流通します。

アルミ圧延品とは

アルミ圧延品とは、輸入したアルミ地金を日本国内で圧延して薄く伸ばした製品のことを指します。

次の3種類があります。

アルミ板(厚板・薄板・コイル材)

自動車、建築、機械部品、鋼板代替、航空機材、船舶材料など

アルミ押出形材

押出プレスでアルミを押出して製造された品物です。棒やパイプ、アルミサッシなどのダイスを使って製造された製品になります。

アルミ箔(フォイル)

アルミの板のコイル材をさらに薄くした製品です。食品包装、電池、電子機器 飲料缶の内張り、コンデンサ、リチウムイオン電池などに使われています。

国内流通の流れ

アルミ圧延品の流通としては、メーカー→商社・流通業者(問屋)→加工業者→エンドユーザーという流れになっています。

圧延メーカー(製造)

日本には大手アルミ圧延メーカーが数社あり、国内需要の大半を供給しています。

  • 主なアルミ圧延メーカーとしては次の会社があります。
    • UACJ(旧・住友軽金属+古河スカイ):国内最大手のアルミ圧延メーカー。板材・箔の両方を生産。
    • 日本軽金属(日軽金):工業用アルミ板や自動車部品向け製品を製造。
    • 三菱アルミニウム:アルミ箔・薄板を中心に製造。
    • 神戸製鋼(コベルコ):航空・自動車向けの高強度アルミ板を製造。

これらのメーカーは、国内各地の工場でアルミ圧延品を生産して商社や問屋、大口ユーザーに供給します。

商社・流通業者(問屋)

アルミ圧延品は、メーカーから商社や流通業者を経由して市場に供給されます。

総合商社:大手メーカーの圧延品を取り扱う総合商社。大口取引が中心になっています。

  • 総合商社には次の会社があります。
    • 住友商事
    • 三菱商事
    • 伊藤忠商事
    • 丸紅
  • アルミ・非鉄金属を専門に扱う商社である専門商社には次の会社があります。
    • UACJトレーディング(UACJグループ)
    • 阪和興業
    • 日軽金アクト(日本軽金属グループ)
  • 流通業者(問屋・加工販売業者)には次の会社があります。
    • アルミ専門の流通業者:独立系のアルミ板販売業者、押出形材取扱店
    • 小ロット販売業者:ホームセンター、オンラインショップ、金属材料専門店(ユーザーの事業もこの範囲)
  • 流通業者の役割としては次のことが挙げられます。
    • 板材・コイルの切断・加工(小分け販売)
    • 小口顧客への供給(町工場・個人DIY向け)
    • 即納対応・在庫管理(メーカー直販より柔軟)

加工業者・エンドユーザー

商社・流通業者を経て、最終的に加工業者やエンドユーザーに供給されます。

加工業者

金属加工工場(曲げ・切削・プレス)
板材を切断・プレス加工し、自動車・機械部品を製造
印刷・包装業者
アルミ箔に印刷を施し、食品包装や電子部品向けに加工

エンドユーザー(使用分野)

業界と主な用途は次の通りとなります。
自動車 ボディパネル、EVバッテリーケース
航空・宇宙:航空機外装、人工衛星の構造材
建築・建材:アルミサッシ、屋根材、カーテンウォール
電気・電子:放熱フィン、電池用アルミ箔
食品・包装:アルミ缶、アルミ箔包装

国内流通の課題と今後の動向

課題

電力コスト高騰:国内の圧延メーカーは電力コストの上昇により、コスト競争力が低下。

中国・東南アジアからの輸入増加:安価な海外製アルミ圧延品(特に中国製)の流入により、国内メーカーのシェアが脅かされている。

今後の動向

リサイクル材の利用拡大:日本はアルミリサイクルの技術が高く、再生アルミを活用した圧延品の需要増加傾向にある。

EV・航空宇宙産業向けの高付加価値化:特にEV(電気自動車)向けの軽量・高強度アルミの開発が進む。

デジタル化・オンライン販売の拡大:従来の商社経由から、オンラインでの直接販売(ユーザーの事業のような小口販売)が増えている。

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