アルミニウムの地金価格はどのようにして決まり、アルミ販売の売値が決まっていくのか具体的に海外資源大手と日本の圧延メーカーの交渉などの詳しいプロセスを解説します。
アルミの地金価格は、世界的な需給バランスや取引市場の動向に加えて海外資源大手と日本の圧延メーカー(圧延メーカー、押出メーカーなど)との交渉によって決まります。
アルミ地金価格の基本構造
アルミの地金価格は、次の3つの要因で構成されています。
LME価格(ロンドン金属取引所価格
アルミの国際価格の基準であり、LME(London Metal Exchange)の先物取引価格に基づいて決まります。需給、経済状況(中国経済や米国の金融政策など)、投機資金の流入などの影響を受けます。
プレミアム価格(地域ごとの割増金)
日本市場においては「日本プレミアム(Japan Premium)」と呼ばれるLME価格に上乗せされる価格があります。
海外資源大手(Rio Tinto、Alcoa、South32、Rusalなど)と日本の圧延メーカーとの四半期ごとの交渉で決定されることになっています。
これは、需要動向、物流費、関税、制裁関税(例:ロシア産アルミの米国制裁)などの影響を受けることになります。
円建て換算(為替レートの影響)
LME価格+プレミアムをドル建てで取引して、日本国内では円に換算されるために為替レート(ドル円相場)の影響を受けることになります。

具体的な値段の決定プロセス
LME価格の決定
LMEでは、アルミ地金が先物取引の形で売買されて、リアルタイムで価格が変動します。
- アルミ地金価格の主な影響要因は次のとおりです。
- 世界の供給量:アルミ生産量の多い中国、ロシア、カナダ、オーストラリアの生産動向
- 需要動向:自動車、建築、電気機器などのアルミ需要
- 在庫量:LME指定倉庫に保管されているアルミの在庫量
- 投機資金の動向:ヘッジファンドや機関投資家の動き
LME価格が日本の地金価格のベースとなっています。
日本プレミアム(Japan Premium)の値段交渉
交渉の流れ
交渉の時期は、四半期ごと、3ヶ月ごとに実施されます。
交渉の当事者
売り手は、海外資源大手(Rio Tinto、Alcoa、South32、Rusalなど)であり、買い手は日本のアルミ需要家である日本の大手圧延メーカーです。
交渉の内容
- 値段交渉の内容は次のとおりです。
- 輸送コストについて:物流費の変動(例えば、海運コストの上昇)。
- 需給バランスについて:国内在庫の状況や輸入量の調整。
- 関税・制裁の影響について:ロシア産アルミへの制裁関税など。
これらの交渉の結果、日本向けのプレミアムが決定して、これがLME価格に加算されることになります。
たとえば、LME価格が2,200ドル/トンで、日本プレミアムが90ドル/トンなら、輸入価格は2,290ドル/トンとなります。
国内の売値への反映(為替影響)
輸入価格(LME価格+プレミアム)を日本円に換算して、国内アルミ価格が決まります。
たとえば、LME価格:2,200ドル/トンで日本プレミアム:90ドル/トンであれば、為替レートを1ドル=150円として 国内のアルミの値段(円換算)は、(2,200 + 90) × 150 = **344,000円/トンとなります。
これが、圧延メーカーや流通業者が仕入れるアルミ地金価格となります。
この仕組みによって世界のアルミ需給や国際的な政治・経済動向が直接日本国内のアルミ価格に影響を及ぼすことになります。中国の景気動向や米国の金利政策、ロシアへの制裁などが価格変動の重要な要因となっています。
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