グリーンアルミの製造や販売のメリットとデメリット、今後について

解説

グリーンアルミニウムは、製造から販売そして使用、リサイクルに至るまで環境に配慮した方法で製造されて販売されるアルミニウムで、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献する取り組みとして注目されています。

グリーンアルミとは

グリーンアルミはアルミニウムの製造過程で発生する二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減したアルミニウムのことです。

従来のアルミニウムの製造では、ボーキサイトの原料からアルミナを生成して、電気分解してアルミニウムを取り出すという工程がありました。

電気分解に大量の電力を消費するために、発電方法によっては、その過程で多くの二酸化炭素が排出されていました。

グリーンアルミは、この電力に水力発電、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギーを使用することで、CO2の排出量を大幅に削減します。

グリーンアルミは「環境に優しいアルミニウム」となります。製造方法は従来のアルミニウムと変わりませんが、使用する電力の違いが大きな特徴です。

グリーンアルミの特徴

  • グリーンアルミニウムの製造には、次のような特徴があります。
    • 再生可能エネルギー(水力、太陽光、風力など)の利用
    • エネルギー効率の向上
    • 新地金の使用量を減らし、リサイクルアルミの使用率を高める

アルミニウムは、融点が低くて、溶かして比較的簡単にリサイクルできるのでリサイクルの代表と言われています。

リサイクルに必要なエネルギーは、新たなアルミニウム地金を製造する場合に比べてわずか3%と、省エネルギーにも大きく貢献できます。

どんなメリットがあるの?

グリーンアルミの一番大きなメリットは、環境負荷の低減に貢献することです。

  • 具体的なグリーンアルミのメリットは次の点があります。
    • CO2排出量の大幅削減:地球温暖化の原因となるCO2排出量を削減し、脱炭素社会の実現に貢献します。
    • 企業の環境意識向上: 製品にグリーンアルミを使用することで、企業の環境への取り組みをアピールでき、企業イメージの向上につながる。
    • 持続可能な社会への貢献: SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し、持続可能な社会の実現に寄与します。

一般消費者になじみの深いアルミホイルやアルミホイールなどでもグリーンアルミの販売は始まっています。

デメリットはないの?

グリーンアルミは環境に優しいですが、いくつかの課題もあります。

コストが高い: 再生可能エネルギーは、地域や時期によって供給量が不安定であったり、発電コスト自体が従来の化石燃料を用いた発電よりも高かったりする場合があります。そのため、グリーンアルミの製造コストも高くなる傾向があります。

供給量が不安定: 再生可能エネルギーの発電量は天候などに左右されるため、グリーンアルミの供給量も不安定になる可能性があります。

定義の曖昧さ: 「グリーンアルミ」という言葉の定義が明確に定まっているわけではありません。どの程度CO2排出量を削減すれば「グリーン」と言えるのか、統一された基準がないため、グリーンアルミと謳っていても実際にはCO2削減効果が限定的な場合も考えられます。

グリーンアルミは高くなるの?

デメリットに関係しますがグリーンアルミは従来のアルミニウムに比べて製造コストが高くなる傾向があります。

再生可能エネルギーのコストや供給の不安定性などが影響しています。グリーンアルミを使用した製品も、従来のアルミニウムを使用した製品に比べて価格が高くなる可能性があります。

ただし、技術革新や再生可能エネルギーの普及がすすむことで、将来的には価格差が縮小していく可能性もあります。やり方によっては、値段が安くなる可能性も否定できません。

地球儀

世界中でやってるの?

グリーンアルミの取り組みは世界中で広がっています。環境意識の高いヨーロッパを中心に、自動車メーカーや電子機器メーカーなどが積極的にグリーンアルミの採用をすすめています。

AppleやBMWなどは、製品の一部にグリーンアルミを使用していることを公表しています。アルミニウム製造企業や圧延メーカーも再生可能エネルギーを活用した製造拠点の整備をすすめています。

グリーンアルミの今後

グリーンアルミは、脱炭素社会の実現に向けた重要な役割を担っています。今後は、技術革新によるコストダウン、再生可能エネルギーの普及による供給量の安定化、グリーンアルミの定義の明確化などがすすむことで、さらに普及していくことでしょう。

消費者の環境意識の高まりも、グリーンアルミの需要を後押しする要因となるでしょう。将来的には、グリーンアルミがアルミ製造や販売の主流となる可能性も十分にあります。

コメント