「アルミホイル(アルミ箔)を指に巻くと咳が止まる」「咳止め効果がある」という話は民間療法や噂話として広まっています。
科学的、医学的な根拠はないようですが、ではなぜこのような効果を感じる人が多いのでしょうか?
こうした噂や民間療法が効果があると感じられる理由には、いくつかの心理的および生理的な要因が考えられますので解説します。
プラセボ効果
プラセボ効果とは、薬としての効果を持たない偽薬(プラセボ)を服用しても、症状の改善や副作用などが現れる現象のことです。
患者が「自分が飲んでいる薬は効いている」と思い込むことで発生すると考えられています。暗示や自然治癒力などが背景にある可能性もあると言われています。
プラセボ効果は、薬の開発や臨床試験において重要な意味があり、新薬の開発や認可の際に、実際の患者に投与する臨床試験では、プラセボと新薬を比較することで、新薬の有効性を科学的に明らかにします。
プラセボ効果を防ぐためには、新薬の比較試験では「二重盲検法」と呼ばれる試験デザインが用いられます。これは、患者側も医師側も、誰がどちらの薬を服用しているのかを知らなかったりします。
アルミホイルを指に巻くという行為が、「何か特別なことをしている」という感覚を与え、咳が和らいだと感じる可能性があります。

注意の分散
咳は一部、心理的な要因や意識に左右されることがあります。アルミホイルを指に巻くということが意識を咳からそらして、結果として咳が減ることがあります。
例えば、咳をしないようにしようという緊張が緩和されることで自然に落ち着く場合も考えられます。
温熱や触覚刺激
アルミホイルには温熱効果や治療効果はありませんが、指に巻くということによって触覚刺激が自律神経に影響を与えて、リラックス効果をもたらす可能性があります。
リラックスすることで咳を引き起こす反射が弱まることも考えられます。
偶然
咳は多くの場合、一時的な症状であって時間が経てば自然に軽減します。アルミホイルを巻いた後にたまたま咳が治まった場合、その因果関係を結びつけてしまうことがあります。
民間療法や伝承
噂や伝承が広がる背景には、昔からの民間療法の影響や、現代医学で解決できない症状への代替的な希望を求める心理があると考えられています。周囲の人が「効いた」と言うことで信じやすくなる傾向もあります。
コメント