アルミ缶について圧延と製缶及びボトル缶やリサイクルなど

アルミリサイクル 解説

アルミ缶はアルミニウム合金を主な材料として製造された缶です。飲料とりわけサイダーやビールなどの炭酸飲料の容器として多く使われています。アルミ缶はDI(Drawing & Ironing)缶と呼ばれています。

アルミは軽量で熱伝導率が高くて空気中では酸化皮膜をつくってさびにくいので食品関係にはよく使われます。

また、アルミは鉄の1/3ほどの質量なので、アルミをつかった缶飲料で重量を削減して輸送の費用などコスト削減ができて、瓶飲料にくらべて飲料の値段が下がることもあって普及しました。単価の価格の効果も大きな要因です。

リサイクル

中身の食品類を消費したあとはアルミ缶は軽量であり簡単につぶせて収集、運搬するのにスチール缶より手間がかかりません。

自治体のゴミ収集センターでも電磁石でスチール缶と分別することが簡単なので普及しました。

他のアルミ製品であるサッシや鉄道車輌、自動車部品なども同じようにリサイクルしやすいこともあってアルミニウムの使用量が増加しています。

アルミニウムは、原料となるボーキサイトからアルミナを取り出して電気分解して製造されます。

電気分解するとき多くの電力を消費しますが、一度金属となったアルミニウムは、新地金を製造するときの約3%のエネルギーでアルミ再生地金になります。

リサイクルをすると二酸化炭素の排出量も新地金を製造する時の約3%しかありません。このアルミ再生地金から、新しいアルミ缶に生まれ変わることができます。

ボトル缶

アルミ缶の成形技術もすすんでおり、ペットボトルのような形状で何回も開閉できるキャップを持つボトル缶も普及しています。

プラスチックのペットボトルの場合は、胴体のフィルムにパッケージのデザインを印刷していますが、ボトル缶であれば全体を印刷スペースとして利用できてデザインの自由度が高いということもあって普及しました。中身が見えない、遮光できるということで衛生的という印象もあたえます。

飲み口側の胴部が細くなっているのは口絞り(ネッキング)と呼ばれています。

アルミの材質

圧延メーカーからはコイルで納品されますが厚さ0.3mm前後のアルミの素材からDI缶の製造工程が始まります。

アルミのDI缶の場合、ボディー部のアルミはマンガン系の3000系合金展伸材が、フタの部分にはマグネシウム系の5000系合金が使われています。

アルミ缶材の圧延

アルミ缶の材料は圧延メーカーでアルミのスラブから熱間圧延してつくられています。

アルミ缶のボディ材は3000系のアルミニウムで圧延します。胴の部分のアルミは3000系のアルミで製缶メーカーでは一枚の板から深絞り加工で成形しますので、柔らかく粘りけのあるマンガン合金(1~1.5%含有)が使われています。

3000系はアルミニウムにマンガンを添加した合金です。純アルミニウムの耐食性や加工性を維持して強度が少し高くなっています。容器、建材などに使われます。とくに強度の高い3004、3104が屋根材やアルミ缶に利用されています。

ふたのアルミは5000系のアルミです。ふたのプルトップ部分は開けやすいように切れやすい(割れやすい)マグネシウム合金(4~5%含有)を使っています。

アルミ缶の製缶工程

アルミ缶の製法は、缶胴を深絞りすることから、DI(Drawing & Ironing) 法と呼ばれています。DI法は1955年にアメリカで開発されました。

(1)プレス機によってブランクと呼ばれる円盤状に打ち抜かれて絞り成形で浅いカップ状にされます。

(2)しごき加工機の3段程度の金型によって浅いカップ状から深いカップ状へと引き伸ばされ、同時に再絞りによってカップの径が規定値まで細く成形されます。

(3)しごき加工することによって加工硬化されて缶に強度がつきます。胴部へのプレス加工などにより凹凸をつけて強度を高めて軽量化している缶もあります。

(4)不要となったカップの端がトリミング工程で切り落とされます。薄い部分で0.1 mm、口絞り部分などで0.15 – 0.16 mm程度の厚みにされる。

(5)内外を脱脂・洗浄、外部側面が塗装、塗装が焼付け乾燥、外部側面が印刷、内面がコート塗装、塗装が焼付け乾燥

缶内面は数μmほどの薄膜によってコートされ、充填される内容物がアルミと反応することを防ぎます。

(6)別工程のアルミニウム合金製のフタと共に飲料工場へ出荷される。

(7)充填密封

(8)飲料工場では、飲料を缶に入れて、シーマーという機械でアルミの蓋を被せて二重巻き締めにより密封されます。

コメント