アルミ押出の技術には押出という方法と引抜という方法の2つがあります。
アルミの押出と引抜の圧延加工技術の違いを詳しく解説します。
アルミ押出の加工技術
押出しは、アルミのビレットという原料に近い塊をステムという押出し部品で押し出して、金型を通して製品をつくり展伸する圧延方法でつくります。
押出しの方法には二種類あります。
直接押出
直接押出は、コンテナというアルミの通り道の中に原料のビレットを入れて、コンテナ内を押出し棒が高い圧力で押し出します。
間接押出
間接押出しは、コンテナの中にビレットが入っているのは同じですが、コンテナ自体が押出方向へ動いて製品を製造する方法です。
間接押出しの利点としては、アルミの摩擦が少なくなり、形状などの精度が高くなったり、表面の異物を巻き込まないので良質な製品をつくることができます。
引抜加工
引抜き加工は、ダイスから製品を通してキャリッジで製品の先端を掴んで、ゆっくりと引き抜く製造方法です。
材料を温めずに製造できます。寸法精度の高い管を製造することができます。
押出し加工をした製品を、引抜加工をして精度を高めるということもできます。
押出加工
押出はアルミを400~500℃の熱間で押し出す加工方法です。ビレットを押出機で強い圧力を加えていろいろな形状のダイスの穴から押出して、長細い加工製品を「ところてん」方式でつくります。
棒の中に穴の開いた中空品や複雑な断面形状の製品で押出し展伸(圧延)でつくることができます。
押出機
アルミの押出機は油圧式押出機と水圧式押出機の2つの方式があります。圧力筒およびラムが水平になった水平方向に押出加工する横型が多く使用されています。
横型油圧式押出機では固定したダイスにビレットを押付けて押出す直接押出法で展伸圧延しています。
押出加工は、用途に適したいろいろなアルミニウム合金のビレット(鋳塊)を、さまざまな形状のダイス(金型)穴から強い力で熱間押出し、細長く展伸する方法です。
比較的軟らかな金属であるアルミニウム独特の加工法です。どんな複雑な形状でも、ひとつの工程で簡単に作れるのが特徴です。

引抜加工
引抜き加工は、アルミを加熱することなく室温で素材をダイスの狭い孔に通して引抜くことによって加工する冷間加工方法です。
引抜加工は押出形材よりも細くて寸法精度がよく、表面がきれいな製品をつくることができます。この方法は、管や棒などをつくる場合に用いられます。
押出機で作られた押出材を、先細りの穴を持つダイスを通して引抜き、管、棒の直径や断面積を縮小させる方法もあります。
冷間引抜きと熱処理をすることによって鉄鋼に匹敵する強度を持たせることもできて押出加工だけでは得られない高精度の細管、薄肉管を製造することができます。
引き抜き加工は、アルミを常温でダイスに通して寸法精度が高い管や棒を作る方法になります。
引抜加工は押出加工より細くてきれいな表面の製品をつくることができます。押出より引抜加工ほうが肉厚の薄い製品をつくることができます。
押出によって製造した製品を引抜で精度を高めることもできます。表面も押出より美しく仕上がります。
引抜での加工は常温で行うために寸法精度だけでなく強度も高い製品にできます。
引抜加工の使用用途
引抜加工は、肉が薄くて細い強度の高い製品をつくることができるので寸法精度が必要な製品に多く使われます。
引抜加工の工程
引抜き工程
金型は、外径の形状・寸法を決めるダイスと、内径の形状や寸法をつくり出すプラグがあります。
内径にプラグを後ろから挿入してダイスに口を差し込み、奥からキャリッジを入れて引っ張って抜き出します。
引抜は、1回だけではなく、2回以上引き抜いて必要なサイズに仕上げます。
矯正工程
引抜いた後は少しの曲がっています。これをまっすぐにするために上下にロールがついたところに製品を通してロール矯正をします。
ストレッチャーという方法では、パイプ両端を引っ張って真っ直ぐにする矯正方法もあります
切断工程
そのあと注文のサイズに鋸刃で切断します。その後、潤滑油を落とすため清浄を行います。
熱処理工程
組織を均一化して、内部応力を除去する安定化処理、柔らかくする軟化処理やナマシなどをします。その後、検査・梱包を経てお客様のところまで配送されます。
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