アルミ矢板とは?材質・規格・重量・価格・鋼矢板との違いまで解説

アルミ板 解説

アルミ矢板は、軽量で耐食性に優れた仮設や恒久構造用の土留め材として、河川工事・護岸工事・仮締切工事などで利用されています。

従来主流であった鋼矢板と比べて、施工性や維持管理性に大きなメリットがありますが、コストや強度での注意点もあります。

アルミ矢板の材質・製造工程・規格・重量・価格まで体系的に解説し、鋼矢板との違いもわかりやすく解説します。

アルミ矢板とは

アルミ矢板とは、アルミニウム合金で製造された「かみ合わせ構造(インターロック)」を持つ板状部材です。

地中に連続して打ち込んで、土砂や水を止める「土留め壁」「止水壁」「仮締切」として使用されます。

  • アルミ矢板の主な用途は次のとおりです。
    • 河川・水路の仮締切
    • 護岸・港湾工事
    • 地下構造物の土留め
    • 災害復旧工事
    • 仮設構造物
  • アルミ矢板の主な特徴は次のとおりです。
    • 軽量で人力施工も可能
    • クレーン能力を抑えられる
    • 耐食性が高い
    • 再利用性が高い
    • 錆びにくく維持管理が容易

特に「小規模工事」や「重機搬入が困難な現場」で真価を発揮します。

アルミ矢板の材質

アルミ矢板に使用される材料は、アルミニウム合金ですが、コスト面や性能面からA6000系(Al-Mg-Si系)やA5000系(Al-Mg系)が使われています。

アルミニウムの場合、比重は約2.7で鋼の約1/3であり、耐食性は、自然に酸化皮膜ができることから、鋼材に比べて非常によくなります。また強度では鋼より低いですが設計次第で十分な強度を出すことができます。押出成形で矢板は作られます。

アルミは空気中で自然に酸化皮膜を形成し、それが防食層として機能しますので、海水環境でも比較的長寿命を確保できます。

アルミ矢板の製造工程

アルミ矢板は主に「押出成形」によって製造されます。

アルミ押出の製造の流れは次のとおりです。

  1. アルミ合金ビレットを加熱
  2. 押出機で矢板断面形状に成形
  3. 冷却・矯正
  4. 熱処理(必要に応じて)
  5. 切断・仕上げ加工
  6. 検査

鋼矢板のような「熱間圧延」とは異なり、アルミは押出成形が主流になっており、複雑な断面形状が可能となり、精度も高くできますし、表面が比較的きれいにできるという利点があります。

鋼材の矢板との違い

アルミ矢板と鋼矢板の違いを比較します。

項目アルミ矢板鋼矢板
比重約1/3基準
強度やや低い高い
耐食性高い防錆処理が必要
重機小型で可大型が必要
価格高め比較的安価
リース少なめ豊富

アルミ矢板のメリット

アルミ矢板のメリットですが、軽量施工・錆びにくい・メンテナンス性が高いという点が挙げられます。一方で、デメリットとしては押出ダイスが必要になるので初期材料費が高い・曲げ剛性は鋼に劣る・大規模な高土圧現場には不向きな場合ありということもあります。用途に応じた使い分けが重要です。

アルミ矢板の規格

アルミ矢板はメーカー規格が中心で、鋼矢板のような統一JIS規格は一般的ではありません。

  • アルミ矢板の主な規格要素は次のとおりです。
    • 有効幅
    • 全幅
    • 板厚
    • 断面二次モーメント
    • 断面係数
    • 長さ(2m~12m程度)

断面形状はメーカー独自設計が多く、I型・U型・Z型などに類似した形状があります。設計時は許容曲げ応力度・断面性能・止水性能などを確認します。

アルミ矢板の重量

アルミ矢板の最大の特徴は「軽さ」です。アルミの比重は約2.7、鋼は約7.85です。

つまり重量比は:2.7 ÷ 7.85 ≒ 約0.34となり、鋼の約1/3の重量です。

これによって、小型バックホウで施工可能、人力運搬可能、輸送コスト削減といったメリットがあります。

アルミ矢板の価格

アルミ矢板の価格は鋼矢板より高い傾向にあります。価格目安(参考)としては材料単価は、鋼の1.5~2倍程度となり、リースの場合だと取扱業者が限定的になりますが、防錆塗装不要・維持管理費削減・軽量施工による重機費削減・再利用回数が多いということで、これらを総合すると、ライフサイクルコストでは有利になるケースもあります。特に仮設利用で複数回転用できる場合はコストメリットが出やすいです。

アルミ矢板のメリット・デメリットまとめ

メリットとしては、軽量・高耐食性・再利用性が高い・施工性が良い・小規模現場向きとなり、デメリットとしては、初期費用が高い・高土圧現場には制限あり・市場流通量が少ないという点が挙げられます。

アルミ矢板が向いている現場としては、河川改修工事・仮締切工事・水路補修・港湾・海岸構造物・狭小地施工・重機搬入制限現場などがあります。

今後は、環境配慮や省施工化が進む中で、アルミ矢板の需要はさらに拡大する可能性があります。

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