銀歯でアルミホイルを噛むとキーンとなるのはなぜ?

アルミ箔 解説

アルミホイルを誤って銀歯で噛んだとき、頭に響くような「キーン」という強烈な痛みを感じた経験はありませんか?

銀歯でアルミホイルを噛むと「キーン」となるのは、異種金属間の接触によって生じるガルバニー電流(ガルバニズム)という現象(ガルバニック・ショック)が原因です。

電流が歯の神経を直撃するために、非常に鋭く、短時間で強烈な痛みとして感じられます。

それでは、この現象を詳しく解説します。

原因は「異種金属接触による電位差」

アルミホイルは金属としては、電位(イオン化傾向)が低い金属ですが、銀歯に使われるアマルガム合金・金銀パラジウム合金・金合金などは、アルミに比べて電位の高い金属です。

金属同士が触れると「電池」ができる

アルミ(電位が低い)と銀歯(金属電位が高い)が接触すると唾液(電解質)とで口の中で小さな電池ができます。アルミホイルと銀歯が接触した瞬間、口内で電池ができてしまうのです。

電位差が大きいほど電流は強くなるため、アルミは電流が流れやすくなります。

アルミホイル

唾液は「電解質」で電流が流れる道をつくる

アルミホイルや銀歯が接触しても、乾燥した状態では何も起きませんが、口の中にはナトリウム・カリウム・塩素などのイオンを含む唾液があって、「電解質(電気を流す液)」になってます。金属であるアルミ、金属の銀歯と液体の電解質の唾液の構成でガルバニー電流が発生します。

発生した電流が「神経」を直接刺激する

アルミホイルが銀歯に触れた瞬間に、電流が歯の神経へ直接伝わるために、頭の奥まで響くような、あの「キーン」という痛みが走ります。

メカニズム

アルミが「陽極」として電子を失います。銀歯側が「陰極」として電子を受け取ります。電流が唾液を介して流れます。そして、歯の内部の「象牙質」「歯髄(神経)」へ電気刺激が伝達され、神経が反応して“キーン”という痛みが走ります。

特に神経の近くまで削った銀歯や、象牙質が露出している歯ほど刺激を受けやすいため、痛みが強くなります。

なぜ「アルミホイル」は特に起きやすいのか?

アルミホイルは、非常に薄くて歯に密着しやすくて、柔らかいので、噛んだ瞬間に銀歯の金属表面に密着しやすいのです。広い接触面ができて電流が流れやすくなります。

アルミはイオン化しやすいということも原因です。アルミは金属の中でもイオン化傾向が高い(電子を失いやすい)ために、銀歯の金属と組み合わせたときに強い電位差ができます。

また、アルミは本来、表面が酸化皮膜に覆われており、この皮膜は電気を通しにくいのですが、噛みしめたときの力で皮膜が破れて、むき出しの金属面が露出して電流が流れるというこもあります。この皮膜破壊も痛みを増幅させる原因です。

「金属製のスプーン・フォーク」でも起きる

アルミホイルの話でしたが、ステンレスのスプーン、鉄製のフォーク、銅製調理器具などでも、銀歯と接触すれば同じ現象が起こります。ただし、アルミほど電位差が大きくないため、痛みは弱いのが一般的です。

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