アルミ用塗料についてアルミは塗装できるの?塗装してもいいの?

アルミサッシ 解説

軽くて錆びにくいというアルミニウムですが、塗装がすぐに剥がれてしまうということをよく聞きます。アルミの塗装について、適切に塗装すれば問題なく塗ることができます

アルミに塗装

アルミの塗装は問題ありません。身の回りでよく目に入る多くのアルミ製品が塗装されています。例えば、建築材料であればアルミサッシ、ドア、門扉、カーポート、外壁パネル、車類だと自動車のホイール、バイクのフレームやパーツ、家電やOA機器であればパソコンの筐体、オーディオ機器のパネルなどです。アルミの看板、標識なども塗装されています。

アルミは錆びないというイメージがありますが、空気に触れるとすぐにサビるのです。錆びが表面だけで鉄のようにドンドン進行するのを防いでいるだけです。

アルミは錆びにくい金属ですが、全く錆びないわけではありません。特に沿岸部など塩分の多い環境では「白錆」と呼ばれる白い斑点状の腐食が発生します。塗膜で表面を保護することで、この白錆を防ぎ、より長期間にわたって製品の劣化を防ぐことがあります。

また、塗料の機能をアルミに付加することもできます。太陽光を反射して温度上昇を抑える遮熱塗料や、電気を通しにくくする「絶縁塗料」などがあります。

アルミへの塗装は単に色を付けるだけでなく、製品の価値を高めるのに重要な役割があります。

塗装の問題点

アルミの塗装はできますが方、塗装が難しい、剥がれやすいと言われるのは理由があります。

酸化被膜

アルミニウムは、酸素に触れると瞬時に表面に酸化アルミニウムからなる、無色透明で非常に安定した薄い膜ができます。この酸化被膜は硬くて、腐食を防ぐバリアの役割を果たしていますが、塗装では、塗料が密着するのを妨げてしまいます。

熱膨張

アルミニウムは、鉄などの他の金属に比べて熱膨張率が大きいですが、温度変化によって伸び縮みしやすい金属です。屋外のアルミ製品は、夏の直射日光と冬の冷気で大きく伸縮を繰り返します。このことで塗膜が追従できないと、ひび割れや浮きが発生して、剥がれの原因となってしまいます。

剥がれにくくするには

塗料を塗る前の下地処理が重要になります。これをしっかりしておけば、この問題点を克服し、塗料の密着性を飛躍的に高めることができます。

ケレン(目荒らし)

塗料の食いつきを良くするために、アルミの表面に微細な傷を付ける作業です。サンドペーパー(300番~600番程度)やナイロンたわし(スコッチブライトなど)を使って表面全体を均一に研磨します。塗料が引っかかるアンカー効果ができて密着性があがります。すでに塗膜や錆がある場合は、この段階で完全に除去します。

脱脂

アルミの表面は、製造時の油分や人の皮脂、ホコリなどが付着しています。これらは塗料の密着を妨げるので完全に取り除きます。シリコンオフやアセトン、ホワイトガソリンなどを清潔な布に含ませて拭き上げていきます。

プライマー(下塗り)

プライマーは、アルミ素地と上塗り塗料との接着剤のような役割をします。アルミの酸化被膜に強力に密着して、上塗り塗料がしっかりと食いつく層を作ります。

非鉄金属用プライマーやアルミ用プライマーを使うようにします。

アルミの塗料

下地処理さえしっかりすれば、上塗り塗料を使用することができます。用途や求める性能に応じて最適な塗料を選びます。

ウレタン塗料

耐候性、耐摩耗性、耐薬品性に優れ、肉持ち感のある美しい光沢(艶)が得られます。硬化剤を混ぜて使用するため手間はかかりますが、塗膜の性能は非常に高く、自動車のホイールや屋外の建材など、高い耐久性が求められる箇所に最適です。

アクリルラッカースプレー

乾燥が速く、DIYで最も一般的に使われる塗料です。カラーバリエーションも豊富です。ただし、塗膜の強度はウレタン塗料に劣るため、擦れや衝撃が多い場所には不向きな場合があります。

フッ素樹脂塗料

紫外線に強く、卓越した耐候性があります。塗膜の劣化が極めて遅いので塗り替えが困難な高層ビルや橋梁などに使われます。高価ですが、長持ちする塗料の一つです。

エポキシ塗料

密着性、耐食性、耐薬品性に優れています。工場の床や薬品タンクなど、過酷な環境下で使用されることが多い塗料です。

クリア塗料

アルミの金属光沢や、ヘアライン仕上げなどの美しい質感を活かしたい場合には、クリア塗料を使えばよいでしょう。

素材感の維持と保護、アルミの見た目をそのままに、表面を塗膜で保護します。白錆を防止することもできます。アルミの酸化を防いで長期間にわたって美しい金属光沢を保ちます。

上塗りカラーの保護もできます。カラー塗装の上にさらにクリア塗装を施すことで、色あせや傷から塗膜を守り、艶を深める効果があります。

クリア塗装の場合も、色付きの塗料と同じで、下地処理とプライマーが必要です。これをしないと、クリア塗膜も簡単に剥がれてしまいます。屋外で使用する場合は、黄変しにくいUVカット機能付きのウレタンクリアなど、耐候性の高い製品を選ぶとよいでしょう。

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