アルミニウムの板、押し出し材(形材・棒・管(パイプ)の見積もりを出す場合の比重や単重といった基本的な変数を使ってどのように値段を算出するのか、その具体的な方法を詳しく解説します。これによって、正確な見積もりやコスト分析ができるようになります。
アルミの比重
アルミニウムの比重は、他の鉄や銅と同じように比重が決まっています。比重とは、物質の密度と、基準となる物質(一般的には4℃の水の密度)の密度との比で計算されます。アルミニウムの場合であれば、純アルミニウムの比重は約2.7g/cm3(または2.7×103kg/m3)となっています。
ただし、アルミ製品となっているアルミ合金はいろいろな添加物が入っており、添加される元素の種類や量によって比重はわずかに変わってきます。
銅を多く含むジュラルミン系合金(2000系)などは比重が2.8g/cm3前後とやや高くなり、マグネシウムを多く含むマグネシウム合金系(5000系)は2.6g/cm3前後とやや低くなります。
- 材質による比重(g/cm3)は次のとおりです。
- 純アルミ(A1050等) 約2.70
- A5052(耐食性に優れる) 約2.68
- A6063(押出材向け) 約2.70
- A7075(高強度) 約2.81
単重と比重の関係
単重とは、単位あたりの重さのことです。アルミニウム材の単重は、その形状(板、棒、パイプなど)と寸法、そして比重によって計算できます。比重が物質そのものの特性を表すのに対して単重は特定の形状と寸法を持つ製品の重さを表しています。
単重(kg)= 体積(cm3またはm3) × 比重(g/cm3またはkg/m3)
板材の価格算出方法
アルミ板材の価格は、「板の寸法(長さ、幅、厚さ)」と「単重」、そして「材料単価」によって決まります。
体積の算出
体積 (m3) = 長さ (m) X 幅 (m) X 厚さ (m)
単重の算出
算出した体積と、アルミの比重(例えば2.7g/cm3または2700kg/m3)を用いて、板材1枚あたりの単重を算出します。
単重 (kg) = 体積 (m3) X 比重 (kg/m3)
材料価格の算出
単重が算出できたら、それに材料単価(1kgあたりの価格)をかけることで、その板材の材料価格が算出できます。
材料価格 (円) = 単重 (kg) X 材料単価 (円/kg)
例
厚さ2mm、幅1000mm、長さ2000mmのアルミ板(比重2.7g/cm3)の材料価格を計算
長さ = 200 cm, 幅 = 100 cm, 厚さ = 0.2 cm
体積 = 200 cm × 100 cm × 0.2 cm = 4000 cm3
単重 = 4000 cm3 × 2.7 g/cm3 ÷ 1000 = 10.8 kg
もし材料単価が500円/kgであれば、材料価格 = 10.8 kg × 500円/kg = 5400円
これに、加工賃(切断、プレス、表面処理など)、梱包費、運賃、諸経費などを加算して最終的な見積もり価格が決まります。

押出材の価格算出方法
アルミ押出材(アングル、チャンネル、パイプ、H形など)の価格の算出も、基本的には板材と同じく「単重」を使って算出しますが、体積の算出方法が少し異なります。
断面積の算出
押出材の場では合、断面の面積を算出します。押出材の複雑な形状に応じて、CADデータから直接算出するか、幾何学公式を使って算出します。角パイプであれば外形面積から内形面積を引いて算出します。
体積の算出
断面積が算出できたら、長さをかけて体積を算出します。
体積 (m3) = 断面積 (m2) X 長さ (m)
単重の算出
単重 (kg) = 体積 (m3) X 比重 (kg/m3)
材料価格の算出
単重に材料単価を乗じて材料価格を算出できます。
材料価格 (円) = 単重 (kg) X 材料単価 (円/kg)
例
断面積が5cm2のアルミ押出材を長さ3000mm(300cm)の場合(比重2.7g/cm3)
体積 = 5 cm2 × 300 cm = 1500 cm3
単重 = 1500 cm3 × 2.7 g/cm3 ÷ 1000 = 4.05 kg
材料単価が600円/kgであれば、材料価格 = 4.05 kg × 600円/kg = 2430円
ただし、押出材の場合、金型製作費用、押し出し加工賃、切断加工賃、表面処理費などが別途必要となることが多いので、これらの費用も見積もりに加算されることが多くなりますので注意が必要です。押出金型費用は金額も多額な場合が多いので数量が少ない場合は単価に大きく影響します。長尺輸送費や切断手数料が別にかかる場合もあります。
コメント