アルミフライパンの手入れについてアルミの専門家が詳しく解説

アルミホイル 解説

アルミの専門家がアルミフライパンの焦げ付き防止や手入れについて経験などをもとに詳しく解説します。

アルミニウムとは

アルミニウムは、地球の地殻中に豊富にある軽金属のひとつで、比重は約2.7と鉄の約3分の1の軽さです。ケイ素に次いで3番目に多く存在する元素であり、金属の中では最も多く存在します。

耐食性に優れていて、加工がよく、熱伝導性も非常に高いため、調理器具によく使われてています。

空気中にさらされるとすぐに酸化アルミニウムの薄い被膜が表面に形成されるので、これが内部を腐食から守るようになっています。空気中で表面に非常に薄く強固な酸化被膜(不動態皮膜)を形成するため、優れた耐食性を示します。この酸化被膜が、アルミニウム製品を錆びにくくし、美しさを保つ上で重要な役割を果たしています。

航空機や自動車の部品、建築材料、食品容器、調理器具など、いろいろな分野でアルミニウムが利用されています。

アルミ鍋

アルミフライパンのアルミの材質

家庭用や業務用のアルミフライパンには主として純アルミニウム(純度99%以上)、もしくは添加金属を少しだけ入れたアルミ合金が使われています。

純アルミ製

熱伝導に優れていて、均一に火が通りやすいですが、やや軟らかくキズがつきやすい特徴があります。焼きムラが少なく、美味しく調理できるという利点があります。

アルミ合金製

マグネシウムやシリコンなどが微量に添加されており、強度や耐久性を高めたもので、より実用性に優れています。アルミニウム合金は、純アルミニウムに比べて強度が高く、変形しにくいという特性があります。

いずれの材質も焦げや変色などを避けるためには、正しい使用法と手入れが大切です。

また、多くのアルミフライパンの表面には、アルマイト加工(陽極酸化処理)やフッ素樹脂加工(テフロン加工など)が施されています。

アルマイト加工(陽極酸化処理)とは、アルミニウムの表面を電気分解によって人工的に厚い酸化被膜をつける処理です。被膜は非常に硬くて、耐食性や耐摩耗性がよくなります。

焦げ付き防止効果もありますが、キズがつきにくくなり、変色も少なくなります。

フッ素樹脂加工とは、フッ素樹脂をコーティングすることで、高い非粘着性をあたえて、焦げ付きを少なくします。ただし、表面のコーティングが剥がれやすいというデメリットもあります。

焦げ付き

アルミフライパンには、フッ素樹脂やテフロンなどのコーティングがないアルミ製品も多く、食材が焦げ付きやすいことがあります。

焦げ付きの原因としては空焚きによる高温状態が続いたり、食材の水分不足、表面酸化膜の損傷などがあげられます。高温になりすぎると、食材の糖分やタンパク質が凝固し、フライパンの表面に付着しやすくなります。

対策としては、中火以下での加熱を基本として、調理前に油をなじませて予熱することが焦げ付きを防ぐのがポイントです。油は食材とフライパンの間に膜を作り、焦げ付きを防ぐ役割があります。油の量が少ないと、この膜が不十分になり、焦げ付きやすくなります。

また、フライパンが十分に温まっていない状態で食材を入れると、温度差により食材が表面に張り付きやすくなります。

なお、焦げができた場合でも、金属たわしでゴシゴシこすらず、重曹を使った煮洗いで対応するほうがよいでしょう。

キズ

アルミは金属の中では比較的軟らかくて、金属製のヘラや硬いたわしなどを使用するとキズがつきやすくなります。キズがつくと焦げ付きやすくなったり、酸化膜が剥がれて変色の原因にもなります。

対策としては、木製・シリコン製の調理器具を使ったり、洗浄時はスポンジと中性洗剤を使うようにします。焦げがひどいときは、重曹で煮洗いするほうがよいでしょう。

また、洗浄の際には、研磨剤入りのたわしやクレンザーの使用は避け、柔らかいスポンジを使用するようにしてください。

こうした工夫で、キズを最小限に抑えることができます。

黒ずみなど変色

アルミフライパンの黒ずみは、アルミニウムが空気中の硫黄成分や酸・アルカリに反応して起きる自然な化学変化です。

具体的な原因としては、調理に使用する塩分や酸(レモン・酢など)、アルカリ性洗剤の残留、水道水中のミネラルや鉄分との反応などがあげれらます。

黒ずみ自体は無害ですが、見た目が気になる場合は、クエン酸や酢水を使って軽く煮ることで取ることもできます。

黒ずみは、アルミニウムが微量に溶け出した結果であり、人体には無害とされています。

アルミフライパンのお手入れ方法

アルミフライパンの寿命を延ばすためには、以下のようなお手入れが基本です。

使用後すぐに洗います。調理後、フライパンが温かいうちに洗います。冷めると焦げ付きが固まって、落としにくくなります。

研磨剤の入っていない柔らかいスポンジに、食器用中性洗剤をつけて優しく洗います。金属たわしやクレンザーは、表面加工を傷つける原因となるため使用しないでください。

洗浄後は、水気をしっかりと拭き取り、完全に乾燥させます。水分が残っていると、水滴の跡や黒ずみの原因になることがあります。

  • アルミのフライパンの使用後は次のように扱います。
    • フライパンが冷めてから中性洗剤とスポンジで洗う(急冷は歪みの原因)。
    • 焦げ付きがある場合は重曹と水を入れて加熱し、煮洗いする。
    • よくすすいで水気を拭き取り、自然乾燥または弱火で乾燥させる。
    • 使用頻度が低い場合は、保護のために薄く油を塗って保管する。
  • 避けるべきことは次のとおりです。
    • 食材や水を入れたまま長時間放置しない。
    • 食洗機での洗浄(アルカリ洗剤や高温で劣化しやすい)しない。
    • 酸性・アルカリ性の調味料を長時間入れない。

焦げ付きを取る

軽い焦げ付きの場合はフライパンに水を入れて弱火で加熱して、焦げ付きを柔らかくして、木べらなどで優しくそげ落として、通常の洗浄を行います。

頑固な焦げ付きの場合は、重曹を使う方法もあります。フライパンに水と大さじ1~2杯の重曹を入れて、弱火で数分間煮立たせます。重曹のアルカリ成分が焦げ付きを分解して、剥がれやすくします。冷めたら、柔らかいスポンジで優しく洗い流します。

お酢を使う方法もあります。水と酢を1:1の割合で入れて、弱火で数分間煮立たせます。酸の力で焦げ付きが緩みます。

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