アルミニウム板の違いについて薄板と厚板および箔をわかりやすく解説

アルミ板 解説

アルミは軽量で強度もあり、加工しやすい金属なので日常生活の様々な所で使用されています。日常的には、1円硬貨、ビール缶、アルミサッシ、自動車・航空機などで見る機会が多い金属です。

アルミは軽量で熱伝導性や導電性に優れており加工がしやすいといった特徴があります。空気中の酸素と結合することによって表面に酸化被膜を形成されて内部の金属を保護するために高い耐食性があります。アルミが錆びないと言われるのはこのためです。

厚さの分類

アルミ板と薄板は厚さによって分類されます。
ただし、製造メーカーや販売代理店などによって若干厚みの定義が異なる場合が多いですが、厚みによって分類されています。

厚さが0.2mm~6mmは、薄板と呼ばれることが多く
6mmを超える場合は、厚板と呼ばれることが多くなります。
0.2mm未満の場合はアルミ箔と呼ばれることが多くなります。

  • アルミ板の厚さの分類
    • 箔  ~0.2mm
    • 薄板 0.2mm~6mm
    • 厚板 6mm~
アルミ板

厚みによる用途の違い

薄板

飲料缶、照明器具、白物家電製品など
建材では屋根、排水溝、壁板などで使用されます。

厚板

航空宇宙、軍事、船、自動車などに使われています。

材質による違い

アルミ板は、もちろん材質のほとんどがアルミニウムですが、アルミ板の中でも強度や加工方法などに違いによって添加金属を変えて特性を出しています。

アルミは金属としては、鉄などに比べると柔らかい部類にはいります。

銅、マンガンやマグネシウムなどを少し添加して強度をだしたアルミニウム合金として使われることが多くなります。

添加した元素の含有量によってアルミニウム合金の種類が決まります。その種類によってアルミ板の板厚が変わることがあります。

A1050

A1050は、アルミニウム1000系に分類される純アルミニウムの1つでアルミニウムの含有率が99.5%以上です。

耐食性、溶接性、表面処理性に優れています。

強度を高める添加元素を入れてないので強度が低く、加工性は高いという特徴があります。

強度が低くて粘り気があるために、切削加工では切り粉の巻き込みなどによって傷やへこみができやすくなります。

用途としては、日用品、家電、反射材、ネームプレート、装飾品、工業タンク、エアコンなどの熱交換器部品などです。

板厚は広く、一般的には0.1mm~2mmが多くなっています。

A1100

A1100は、純度が99%以上の純アルミニウムに属して幅広く使用されているアルミニウムです。

  • A1100の特徴は次のとおりです
    • 導電性や熱伝導性に優れている
    • アルマイト処理で耐食性や耐摩耗性を向上させることができる
    • 反射性が高く光や熱、電磁波などをよく反射する

ただしA1100の加工性について、鍛造や圧延、絞りなどの成形加工には適していますが、切削加工は粘りがあるため適していません。

用途としてはA1050と同じく日用品、家電、反射材、ネームプレート、装飾品、工業タンク、エアコンなどの熱交換器部品などです。

板厚は一般的に0.8mm~5mmが多くなっています。

A2017

A2017は、アルミに銅やマグネシウムを添加したアルミ合金で、一般的にジュラルミンと呼ばれています。

軽量で強度があり、加工性にも優れているため、航空機や機械部品、金型、ネジやリベットなどの部品などのさまざまな用途に使われています。

  • A2017の特徴は次のとおりです
    • 軽量で強度があり加工性に優れている
    • 耐食性と溶接性に劣る

銅を含むために他のアルミ合金と比らべると耐食性に劣り、溶接性に優れないという特徴があります。

銅を添加するとアルミは強度が高くなります。鍛造も可能です。

板厚は、幅広く1mm~100mm以上の厚板もあります。

A5052

A5052は、アルミニウムにマグネシウムを添加したアルミ合金です。アルミ板としては最も一般的な材質であり、アルミ板の需要の多くを占めています。

耐食性、溶接性、成形性に優れており加工に向いています。

  • A5052の特徴は次のとおりです
    • 軽量で強度がある
    • 耐食性、溶接性、成形性に優れている
    • 熱伝導性に優れている

A5052の主な用途としては、アルミ船舶や車両のボディー、建材などです。

A5052は冷間加工の後に室温程度で長時間放置すると経年変化が起こります。経年変化をさせないために熱延後に150度程度で加熱して安定化処理をします。

板厚は0.5mm~300mm以上と幅広くなります。

A6061

A6061はアルミにシリコンやマグネシウムを添加したアルミニウム合金です。

  • A5052の特徴は次のとおりです
    • 強度、耐食性に優れている
    • 他のアルミと比べても強度があまり高くありません
    • 熱処理のT6処理を行うことで高い強度を得られます

T6処理とは、アルミ合金の熱処理の1つで、アルミニウムの強度を上げる処理方法です。溶体化処理、水冷(焼入れ)、人工的時効化処理(焼き戻し)の3段階があります。

溶体化処理から冷却して焼き入れをして)、一定の温度で加熱を続ける時効硬化処理で焼き戻しをします。

用途は強度の必要な製品や建築材料などに使われます。

板厚は、幅広く1mm~100mm以上の厚板もあります。

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