A5052、A6061、A6063の板や押出形材のアルミ販売価格

解説

アルミニウム材料の代表的な材質であるA5052、A6061、A6063の板材や押出形材のアルミ材の販売価格について詳しく解説します。

A5052、A6061、A6063のアルミの材質について

アルミニウム合金は、その特性によっていろいろな種類があります。代表的な3つの材質、A5052、A6061、A6063について解説します。

アルミニウム合金の中でも、A5052、A6061、A6063は一般的に多く使用されているアルミの代表的な材料です。

A5052

A5052は、アルミニウム合金の中でも代表的な材質の一つです。マグネシウムを添加することで強度を高めて耐食性、溶接性にも優れています。船舶、車両、建築材料など幅広い分野で使用されています。

またA5052は耐食性に優れており、海洋・化学プラント・タンクなどにも使われています。

アルミニウムとマグネシウムを主成分とする合金であり、耐食性に優れています。特に海水や化学薬品に対する耐性が高くて船舶や化学プラントの部材に適しています。また、冷間加工が容易であり、アルミの中では、強度も高いほうの部類になっています。

A6061

A6061は、アルミにマグネシウムとシリコンを添加した合金です。強度と耐食性のバランスが良くて加工性にも優れているためにいろいろな用途に使用されています。特に、建築用材、機械部品、航空機部品などに多く使われています。

強度と耐食性のバランスが良いことから、機械部品や航空宇宙分野でもよく使用されています。

アルミニウム、マグネシウム、シリコンを主成分とする合金であり、強度と耐食性のバランスが良いのが特徴です。熱処理によってさらに強度を高めることができて、自動車部品や航空機部品など、強度が求められる用途に使用されています。

A6063

A6063は、A6061と同じくにアルミニウムにマグネシウムとシリコンを添加した合金ですが、A6061よりも強度が高くて押出性に優れています。押出形材で一番多く使われている材質です。複雑な形状の押出形材に使用されることが多くて建築用サッシ、家具、電気製品などに多く利用されています。押出成形性に優れており、建築・インテリア用途に適しています。

マグネシウム、シリコンを主成分とする合金であり、加工性が高くて、建築用の材料や自動車の部品などに用いられます。

特に押出し加工に適していて美しい仕上がりが得られるため、アルミサッシや手すりなどの建築資材に選ばれています。

A2017とA5052の違いについて強度、耐食性、切削加工性及び溶接性

A5052、A6061、A6063のアルミの板材の製造工程

鋳造工程

輸入したアルミの材料を鋳造してインゴットをつくります。

アルミニウム原料を溶かし、インゴットを鋳造します。アルミニウム合金を溶かし、鋳型に流し込んでインゴットを作ります。

圧延工程

インゴットを加熱し、圧延機で薄く延ばします。この工程で板材の厚さが調整されます。

鋳造でつくられたインゴットを加熱して圧延機で薄く延ばします。この工程で板材の厚さが調整されます。

溶解したアルミニウム合金を連続鋳造機で板状に成形した後、圧延機で圧延を繰り返して所定の厚さまで薄くしていきます。

圧延には、熱間圧延と冷間圧延があり、それぞれ異なる特性の板材を作ることができます。

熱間圧延

高温で圧延し、厚い板を作成。必要に応じて、板材に熱処理を施し、強度や硬度を向上させます。

冷間圧延

精密な厚み調整と強度が向上します。冷却された板材を再度圧延し、最終的な厚さと表面仕上げを整えます。

熱処理

焼鈍などで応力を除去して特性を調整します。

焼き入れでは加熱して急冷などを行い強度を高めます。

仕上げ工程

圧延された板材は、必要に応じて切断、表面処理(アルマイト処理など)、検査などが行われ、製品として出荷されます。

顧客仕様に合わせて切断・表面処理などの加工をします。

A6061、A6063のアルミの押出形材の製造工程

A5052は、押し出しではあまり使われていません。板材がメインになります。

ビレット準備

溶解したアルミニウム合金を鋳造し、押出成形に適した形状のビレットを作ります。円柱状のビレット(鋳塊)をつくります。

アルミニウム合金を溶かし、鋳型に流し込んでビレットを作ります。ビレットを加熱し、押出し加工に適した温度にします。

押出成形

ビレットを高温に加熱してプレス機で金型を通して押し出すことで、所望の形状の形材を作ります。加熱されたビレットを押出し機に入れ、ダイを通して所定の形状に成形します。高温でビレットを加熱して、押出機で型を通して成形します。

冷却・切断

押出し形材を必要な長さに切断します。押し出された形材は、冷却された後、必要な長さに切断されます。

冷却・引き伸ばしも行われます。均一な品質を確保するために冷却と矯正をします。押出し後の形材を冷却し、寸法安定性を確保します。

熱処理

必要に応じて、押出し形材に熱処理を施し、強度や硬度を向上させます。

熱処理ではT5やT6処理が多く、機械的特性を向上させるために行います。

T5は高温で加工して急速に冷却します。その後、扇風機などで強制空冷して人工時効処理を行ったものです。

T6は焼き入れの後に特に冷間加工せず人工時効処理をしたものです。 ひずみの矯正などの目的で冷間加工しても、強度を高めるなどの機械的性質に影響がなければ、T6となります。

仕上げ

切断された形材は、必要に応じて表面処理、検査などが行われて、製品として出荷されます。

仕上げ加工(切断・陽極酸化処理など)では用途に応じたアルマイトなどの表面処理も行われます。

A5052、A6061、A6063のアルミの板材の価格状況

アルミニウム板材の価格は、需要と供給のバランス、原材料価格、製造コストなどいろいろな要因によって変動します。

一般的に、A5052は他の2つの材質に比べて価格が安定している傾向があります。A6061とA6063は、需要の変動によって価格が変動しやすく、特にA6063は建材用途がかなり多く、建築業界の景気動向に左右されやすくなっています。

  • アルミ板材の価格は、次の要因によって変動します。
    • 原材料価格:LME(ロンドン金属取引所)アルミ価格の影響を受ける。
    • 需要と供給:建築、自動車、電子機器業界の需要変動。
    • 生産コスト:エネルギー価格や加工コストの影響。
    • 為替レート:円高・円安による輸入原料コストの変化。

一般的にはA5052は3つの中では比較的高価であり、A6061は汎用的な価格帯、A6063は押出向けで安定した価格帯となっている。

原材料価格はアルミの市場価格が直接影響します。製造コストは、圧延や熱処理などの製造工程にかかるコストが価格に反映されています。

もちろん、アルミも市場の需要と供給のバランスが値段に影響します。輸送コストも価格に影響します。

一般的に、A5052は耐食性が高いため、価格がやや高めです。A6061は強度と耐食性のバランスが良く、価格も中程度です。A6063は加工性が高いため、比較的安価とも言えます。

もちろん、ロットの量によっても値段は変わってきます。少量であったり、小口や小ロットの場合は、値段が高くなる傾向にあります。板材の場合であれば、スラブ1個分、押出形材であれば、ビレット1本分が最低の圧延工程になってますので、スラブやビレットが一回の圧延、押し出しで余ってしまうような場合の小口の出荷は値段が高くなります。

ただし、市中の商社・問屋などで、A5052、A6061、A6063の板や押出形材であれば、在庫がありますので、少量、小口の場合は、市中の商社・問屋に問い合わせたほうが良いでしょう。

A5052、A6061、A6063のアルミの押出形材の価格状況

アルミニウム押出形材の価格も、板材と同じくいろいろな要因によって変動します。特に、金型の製作費や押出加工費が価格に影響を与えるために複雑な形状の形材ほど高価になる傾向があります。

A6063は、建築用サッシなど大量生産される形材に使用されることが多いため、比較的価格が安定しています。

  • 押出形材の価格は、次の要因で決まります。
    • 合金グレード:A6063は押出しやすく比較的安価、A6061は強度が必要なため高価。
    • 形状の複雑さ:断面形状が複雑なほどコスト増。
    • 押出ダイスのコスト:新規ダイスの作成費用が価格に影響。
    • 発注数量:大量発注の方が単価は安くなる。

A6063は建材向けのため比較的安定した価格ですが、A6061は機械部品向けが多く価格の変動が大きいのが特徴です。

原材料価格は、もちろんアルミの市場価格が直接影響しますが、製造コストとしては、押出し加工や熱処理などの製造工程にかかるコストが価格でも変わってきます。

一般的に、A5052の押出形材は耐食性が高いため、価格がやや高めです。A6061の押出形材は強度と耐食性のバランスが良く、価格も中程度です。A6063の押出形材は加工性が高いため、比較的安価と言えます。

A5052、A6061、A6063のアルミ価格の今後について

  • 今後の価格動向は、次の要因に影響されます。
    • 原材料価格の変動:LMEアルミ価格と世界的な生産状況。
    • エネルギー価格:アルミ製造には大量の電力が必要であり、電気料金の影響が大きい。
    • 経済情勢:建築・自動車産業の需要増減。
    • 政策と関税:各国の関税措置や環境規制の影響。

特に2025年以降は、グリーンアルミ(低炭素アルミ)の需要増加や、中国・東南アジアの供給状況が価格に影響を与えると予測されています。

原材料価格の変動、アルミの市場価格が変動することで、製品価格も影響を受けますし、自動車や航空機、建築分野での需要が増加することで、価格が上昇する可能性があります。

また、環境規制の強化によって、製造コストが増加し、価格が上昇する可能性があります。

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