アルミニウム板などの材質の選定において、A2017とA5052は比較されることが多いので、その違いについて詳しく解説します。
A5052
A5052と言えば、アルミ圧延板の最も使われていて、販売されている材質です。市場では小ロット、小口の板を含めて一番多く流通しています。
A5052は、アルミ合金の代表的な一種です。特に板ではメインの品種になります。
アルミニウムにマグネシウムを添付した素材ですが、アルミ合金には、1000系から8000系まであり、A5052は5000系に分類されます。A5052はアルミにマグネシウムを添加させることで耐食性や強度、溶接性を向上させています。この特性によって加工や工作に適しておりアルミ板の中では最も流通、販売されている素材です。
熱伝導性も優れていて冷却や加熱などに適しています。
A5052は、軽量ですが、強度があります。耐食性にも優れており、加工性が高くて溶接や曲げ加工などにも向いています。
用途としては、自動車部品や航空機部品、建築材料など、いろいろな用途で利用されています。
A5052の耐食性
耐食性は、腐食すなわち錆びに耐える性質のことです。耐食性が高いというのは錆びにくいということです。
アルミは空気中では表面に酸化被膜を形成して被膜の下が錆びないようになっており耐食性に優れています。A5052は、耐食性に優れるマグネシウムを添加しているために高い耐食性があります。
A5052の強度
アルミの中でA5052が分類されている5000系は、アルミ合金の中では中程度の強度程度になっていて、強度と加工性とのバランスに優れており、加工性に適しています。
A5052の溶接性
溶接性とは、材料の溶接に対する適合性です。アルミはもともと溶接がむずかしいですが、マグネシウムを付加することで溶接性が向上します。
ポイント
A5052は、軽量で強度があり、耐食性に優れ、加工性が高く、溶接に向いている

A2017
A2017はアルミ合金の中でジュラルミンと呼ばれています。
アルミに銅やマグネシウムを添加し、軽くて強度がある金属として航空機や機械部品などに使われています。
軽くて強度があって加工性に優れる性質を持っていますが、耐食性には劣っています。鍛造することも可能です。
強度があると言っても、鉄鋼などに比べると強度が低くなります。
用途
A2017は軽量で強度があることから航空機の部品、ロケットの部品、各種の金型、ネジ、リベット、機械部品、窓枠などに使われています。
腐食する可能性のある環境下では、アルマイト処理によって耐食性を向上させて、強度が必要となる航空機や船舶、金型やねじ、リベットといった要素部品の材料として使われています。
軽量で持ち運びしやすいために、スーツケースやテント、椅子などのアウトドア用品のフレームにも採用されています。
デメリット
溶融溶接性や耐食性は他のアルミ合金に比べて劣る傾向があり、溶接には適していません。
銅を添加しているので強度は増していますが、酸化しやすく、耐食性が低下します。腐食を防止するにはアルマイト処理などが必要になります。
他金属と比べると、A2017だけではありませんが、特にA2017は溶接性が低くなります。
酸化皮膜の融点は2000℃と高温ですが、その下のアルミの融点は600℃と高くないために、酸化皮膜とアルミ合金の融点の差によって材料の溶けたり、ひずみが発生します。
さらに、熱伝導が高いので、母材の溶融状態が変化しやすく溶接のビードが安定しません。
化学成分
A2017は熱処理型のアルミマグネシウム合金(Al-Cu-Mg系)2000系です。成分にCu(銅)を添加させることで鉄鋼材料並みの強度のあるアルミ材料です。超ジュラルミンと呼ばれるA2024もこのグループになります。調質によって、さらに強度が向上させることもできます。
アルミの調質とは、冷間加工や熱処理などの処理によって強度や成形性などの性質を調整することです。
また、銅を含むことで強度は向上しますが、酸化しやすい性質を持つため耐食性は低くなります。
ポイント
軽くて強度があって切削性などの加工性に優れるが、耐食性に劣る。
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