アルミ素材(板や押出材、アルミ箔)は、私たちの身の回りの様々な製品に使われていますが、これらの素材を少しだけ、少量で購入しようとすると、アルミの販売価格は、どうしても割高になってしまうことがあります。小口や少量でも安く買う方法をまとめてみました。
板(シート、コイル)や押し出し材(棒、パイプ、形材)などのアルミ素材を少ない量(小口少量)で買うと安くならないのはなぜでしょうか?詳しく解説します。安く買う方法もまとめました。
アルミ素材(アルミ圧延品について)
アルミ板とは
アルミ板とは、アルミニウムのインゴット(塊)を圧延(ローラーで伸ばす)して製造されるシート状の素材です。
アルミ板は、アルミニウム合金を圧延して製造される素材で、厚さや幅に応じて多様な用途に使用されます。
板材は、アルミニウムの圧延工程で製造されますが、この工程では、アルミニウムのスラブが高温で加熱され、圧延機で薄く延ばされて板状に加工されます。代表的な材質には、以下のようなものがあります。
A1000系:純アルミ(電気特性、耐食性に優れる)
A3000系:アルミ・マンガン系(強度、耐食性に優れる)
A5000系:アルミ・マグネシウム系(強度、溶接性に優れる)、
A1050(純アルミ)
柔らかく、耐食性が高い。純アルミニウムで、優れた耐食性と加工性が特徴です。
A5052(アルミ・マグネシウム合金)
耐食性・強度に優れています。
A6061(アルミ・マグネシウム・シリコン合金)
高強度で機械加工性が良い。アルミニウム-マグネシウム-シリコン合金で、強度と耐食性のバランスが良いという特徴があります。
製造工程
製造工程は以下のようになります。
溶解・鋳造:アルミニウムのインゴットを溶かしてスラブを鋳造します。
(ホット・熱延)圧延:高温の状態で圧延して厚板をつくります。溶解したアルミニウムを圧延機で圧延し、薄く伸ばしています。
(コールド・冷延)圧延:冷間圧延により、指定の厚さに仕上げます。
熱処理・表面処理:必要に応じて焼鈍や焼き入れなどを行います。
仕上げ:必要に応じて表面処理(アルマイト処理など)をします。
切断・検査:必要なサイズに切断します。指定サイズに切断し、品質チェック後に出荷します。

押出材とは
アルミ押出材とは、アルミニウムのインゴットから鋳造したビレットを押し出し成形機で押し出して製造される棒状やパイプ状の素材です。押出材は、アルミニウムのビレットを加熱し、ダイス(型)を通して成形することで作られる製品です。
アルミニウムを加熱して溶かして、特定の断面形状を持つ金型に押し出すことで作られます。この工程によって、複雑な形状の部品が一度に成形されます。
代表的な材質
A6063:アルミ・マグネシウム・シリコン系(強度、耐食性、加工性に優れる)優れた押出性と仕上がりの美しさが特徴です。建築用のフレームなどに多用されています。建築用サッシやフレームにも使われています。
A6061:高強度かつ耐食性があり、機械部品に使われることも多いです。
A7075:高強度が求められる部品に使用されるが、加工が難しくなります。
製造工程
溶解:アルミニウムのインゴットを溶解炉で溶かしてビレットをつくります。
ビレット準備:アルミ合金の円柱(ビレット)を加熱します。
押出成形:ダイスを通して所定の形状に成形します。
冷却・伸直:急冷し、伸直作業(引っ張り矯正)で歪みを補正します。
熱処理:T5やT6処理で強度を向上します。熱処理です。
切断・表面処理:仕上げ加工や必要に応じてアルマイト処理を施します。

アルミ素材の相場価格
板の場合
板材の販売価格は、材質や厚さ、表面処理の種類によって異なります。例えば、純アルミニウムの1050は比較的安価ですが、強度が求められる7075は高価です。
アルミ板の購入価格は、板厚や材質、サイズによって異なります。一般的には、厚い板や特殊な材質の板ほど高価になります。
- アルミ板の価格は次の要素によって変動します。
- 原材料価格(アルミニウムの国際相場、LME価格)
- 製造コスト(電力・労働力・設備費)
- 流通コスト(輸送費・倉庫保管費)
- サイズ・厚み(厚みがあるほど高価)
押出材の場合
押出材の値段も材質や断面形状、押出プロセスの複雑さによって変動します。例えば、簡単な形状の押出材は比較的安価ですが、複雑な形状や高強度材質の押出材は高価です。ダイス制作料金が高くなるためです。
アルミ押出材の価格は、断面形状や材質、サイズによって異なります。複雑な断面形状や特殊な材質の押出材ほど高価になります。
- 押出材の価格は、次の要因に左右されます。
- ダイスの製造コスト(専用のダイスが必要)
- 形状の複雑さ(単純形状より複雑な形状の方が高い)
- 数量(大量生産ほどコストが下がり値段も安くなる)
数量による値段の違い
アルミ素材の価格は、購入数量によって大きく影響されます。大量に購入する場合、製造コストや物流コストの効率化が図られるため、単価が安くなります。一方、小口少量で購入する場合、単価が高くなる理由は次のとおりです。
製造コスト:小口少量の注文に対応するため、頻繁に生産ラインを調整する必要があり、その分コストがかかります。
物流コスト:少量の場合、パレット単位での輸送ができず、小分けの梱包や個別配送が必要となるため、コストが上がります。
アルミ素材は、大量生産されることが前提となっているため、少量生産ではどうしても割高になってしまいます。
- 主な理由としては次のこともあります。
- 製造コスト:少量生産では、機械のセッティングや材料のロスが多くなり、製造コストが割高になる
- 在庫管理コスト:少量生産では、在庫管理コストが割高になる
- 流通コスト:少量注文の場合、輸送コストや手数料が割高になる
大口発注(大量購入)のメリット
まとめて製造できるため、1枚・1本あたりの単価が下がります。メーカーから直接仕入れられることが多く、中間コストが削減されて値段も安くなります。
どうすれば安くなるか?
アルミ素材を少量で購入する場合、次の方法でコストを抑えられる可能性があります。
規格サイズを利用する
特注サイズではなく、規格品を選ぶことで製造コストを抑えられて安くなります。
まとめ買いをする
ある程度の数量を一括で発注することで単価を下げることができます。必要な量をまとめて購入することで、単価を下げることができます。
流通在庫品を探す
既存在庫品を扱う業者(専門商社や問屋)から購入すると、特注品より安価です。
規格品の利用
規格品は大量生産されているため、安価に入手できます。
共同購入を活用する
他の事業者と共同で発注し、単価を下げる方法もあります。
加工会社と提携する
加工業者に依頼することで、材料費と加工費をまとめてコストダウンできる場合があります。切断・加工をまとめて依頼すると、トータルコストを抑えられる。
以上の点を考慮しながら、効率よくアルミ素材を購入することで、コスト削減が可能になります。
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