新幹線車両のアルミでギターやストローをつくってリサイクル

解説

古くなった新幹線車両のアルミをリサイクルしてギターやストローなどをつくる取り組みは、環境意識の高まりとともに注目を集めています。

新幹線部材のアルミのリサイクルの意義

新幹線車両は、軽量化と強度を両立させるために大量のアルミニウムが使用されていますが、新幹線車両の寿命が来ると、多くの部材は廃棄物として処理されてしまいます。

アルミニウムはリサイクル性に優れた素材であり、ボーキサイトから新たにアルミニウムを精製するのに比べて、リサイクルに必要なエネルギーはわずか3%とリサイクルに非常に適しています。

  • 新幹線部材のアルミをリサイクルすることは、次のような意義があります。
    • 資源の有効活用: 限りある資源を大切に使って無駄を減らすことができます。
    • 環境負荷の低減: 新たなアルミニウム精製に伴う環境負荷(二酸化炭素排出量や環境破壊など)を抑制できます。
    • 循環型社会の構築: 廃棄物を資源として捉え、持続可能な社会の実現に貢献します。

新幹線で使用されるアルミニウムは、高い強度と耐久性を持つ高品質なものが多いため、リサイクル素材としての価値も高いと言えます。

アルミの木

新幹線のどんな部分がリサイクルされているの?

新幹線車両には、車体、屋根、床下機器のカバー、内装材など、いろいろな部材にアルミニウムが使われています。

  • リサイクルされる主な部分は次のとおりです。
    • 車体: 車体外板や構体に使用されているアルミは、リサイクルの主要な対象となります。
    • 内装材: 座席のフレームや荷物棚、壁面などに使用されているアルミもリサイクルすることができます。

これらの部材は、解体作業後、アルミとその他の素材に分別されてアルミニウムはリサイクル業者に渡されています。

新幹線部材でどんな品物がつくられているの?

新幹線リサイクルアルミから作られる製品はいろいろありますが、最近、注目を集めているのは、次の製品です。

ギター

楽器メーカーが、新幹線の車体に使用されていたアルミニウムをボディに使用したギターを製作しています。軽量でありながら剛性が高く、独特のサウンドが特徴です。

東海道新幹線の車体のアルミをリサイクルしてつくられたエレキギターが今年デビュー50年を迎えたTHE ALFEEにプレゼントされました。

新幹線をイメージした白地に青いラインが入ったこのエレキギターはJR東海が楽器メーカー「東海楽器」などと製作したもので、解体した東海道新幹線の車両のアルミをリサイクルして使ったとのことです。

2024年12月20日に東京・品川区の車両基地に停車中の新幹線車内でTHE ALFEEの高見沢俊彦さんへの贈呈式が行われました。

JR東海はこれまでに新幹線車両からの再生アルミをバットや建材、新たな新幹線車体などに活用する取り組みをすすめていて、今回のギターは60本を一般に販売する予定だということです。

ストロー

新幹線の内装材に使われていたアルミを再利用したストローも開発されています。繰り返し使えるのでプラスチックごみ削減に貢献します。

アルミの大手圧延メーカーである(株)UACJは、東海道新幹線再生アルミを使用した3種類のストローを販売しています。

株式会社JR東海リテイリング・プラスとアサヒユウアス株式会社と株式会社UACJは、廃車になった東海道新幹線の車両の再生アルミを用いた「東海道新幹線再生アルミストロー」を共同開発しました。

JR東海リテイリング・プラスが運営するオンラインショップで2024年7月24日から数量限定で販売しています。

その他

建材や雑貨など、いろいろな製品への応用が検討されています。東京駅の商業施設「東京ギフトパレット」では、700系新幹線のアルミ材が内装に使用されています。

これらの製品は、単にリサイクル素材を利用しているだけでなく「新幹線で使用されていた」というストーリー性も付加価値となっています。

東京ギフトパレットの内装に700系新幹線のアルミ材が使用されたプロジェクトは、JR東海のグループ会社である株式会社鉄道会館が中心となってすすめたとのことです。

東京ギフトパレットは東京駅に直結する商業施設であり、鉄道会館がその運営を行っているためです。このプロジェクトでは、新幹線の歴史や技術を伝えるとともに、リサイクル素材の活用をPRする意図があったと考えられます。

このように、新幹線部材のアルミリサイクルは、環境保護と資源の有効活用に貢献するだけでなく、新たな製品開発や地域活性化にもつながる可能性があります。

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