アルミ製品の専門家です。アルミホイルを利用するレシピでリクエストがあったので、アルミホイルでローストビーフをおいしくする方法とおいしくなる理由を詳しく解説します。
ローストビーフでアルミホイルを利用するレシピ
実はローストビーフ作りのアルミホイルの主な役割は、焼いた後の「保温と肉汁の均一化」なんです。
1.肉の表面を焼きます。
牛肉のブロックに塩胡椒などの下味をつけて、フライパンやオーブンで表面全体にしっかりと焼き色をつけます。メイラード反応によって香ばしさを確保します。
メイラード反応とは、食品中のアミノ酸やタンパク質と還元糖が加熱されることで、褐色物質(メラノイジン)が生成され、香ばしい風味や焼き色が生まれる化学反応のことです。
2.アルミホイルで包む
焼き上がった肉を、肉汁が漏れないように二重、または三重にしっかりとアルミホイルで包みます。
3.お肉を休ませます。余熱で調理します。包んだ肉をそのまま室温に置いて休ませます。この休ませるということで、アルミホイルが重要な働きをします。

どうしてアルミホイルで包むとおいしくなるの?
アルミホイルで包むのは、ローストビーフをジューシーでやわらかく仕上げるための「余熱調理」のためです。
すごい保温性能
アルミホイルは熱を伝えにくい素材でなくて、むしろ熱伝導率は高いですが、薄く使用することで「輻射熱(放射される熱)」を反射して、内部の熱を外に逃がしにくくしてくれます。これがローストビーフを休ませるのに役立ちます。この休ませるということで、ローストビーフはとてもおいしくなります。
焼きたての肉を包むことで、内部の温度が急激に下がるのを防いで肉が持つ余熱をゆっくりと中心部まで伝えて、全体の加熱ムラをなくしてくれます。
ジューシーさの秘訣
アルミホイルは肉汁の再分配をしてくれます。加熱された直後の肉は、熱によって中心部の肉汁が外側(表面)に移動し、とどまっていますがアルミホイルに包んでゆっくりと冷ます(休ませる)ことで、この肉汁(水分)が再び肉の全体に行き渡ります。
これで、どこを切っても均一にジューシーでやわらかい、理想的なローストビーフに仕上がります。アルミホイルは肉汁を外に漏らさず、すべて肉の中に閉じ込める役割も果たします。

ローストビーフをアルミホイルで包む時間は?
この「休ませる」時間は、肉の大きさや焼き加減、作り方によって変わりますが、一般的には最低30分程度が目安とされます。
目安の時間
肉の大きさにもよりますが、30分から1時間が目安です。
大きな肉の塊や、よりしっとり仕上げたい場合は、さらに長く(タオルなどで包んで保温しつつ)休ませることもあります。
おいしさの判断基準
アルミホイルで包んで肉汁をしっかりと再分配させて、余熱で理想の火入れを完了させるためには、30分以上の時間をかけたほうがいいです。
すぐに切り分けてしまうと、せっかく均一になり始めた肉汁が切り口から流れ出てしまうため、じっくりと時間をかけることが重要なんです。
アルミホイルで包む場合の注意点
アルミホイルを効果的かつ安全に使うための注意点です。
二重・三重に包む
肉汁が漏れて保温効果が落ちるのを防ぐため、アルミホイルは必ず二重、できれば三重に包んで端をしっかりと折り込んで密封性を高めます。
包んだ後は「休ませる」
アルミホイルで包んだら、切り分ける前に必ず30分以上放置して肉を休ませてください。これがローストビーフの出来を左右する大切なことになります。
火傷に注意
焼きたての肉は非常に高温です。火傷しないように注意しましょう。
肉汁はソースにします
休ませた後にアルミホイルを開くと中に肉汁が溜まっています。この肉汁は旨味が凝縮されていますので、捨てずにソースにすると風味豊かなローストビーフが楽しめます。
焼き豚もおいしくなるの?
もちらんです。焼き豚、チャーシューでもアルミホイルでおいしくなります。ローストビーフと同じく、焼き上がった豚肉をアルミホイルで包んで休ませることで、次のメリットがあります。
余熱調理によるムラのない火入れ
豚肉の場合、中心部までしっかりと火を通す必要があります。アルミホイルで包んで余熱を利用することで、火の通りすぎを防いで、中心部まで均一に火を通すことができます。
肉汁の保持と均一化
ローストビーフと同じく、加熱で外側に移動した肉汁が肉全体に戻り、パサつきを防いでジューシーでやわらかい焼き豚に仕上がります。
焼き豚を作る場合も、ぜひ焼き上がりにアルミホイルで包んで「休ませる」工程を取り入れてみてください。すごくおいしくなりますよ!
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