アルミ電解コンデンサとフィルムコンデンサの違い、それぞれのメリットとデメリットについて

アルミホイル 解説

アルミ電解コンデンサとフィルムコンデンサの違いとメリットとデメリットについて詳しく解説します。

この2つのコンデンサは、それぞれ異なる構造と材料を使っていますが、それぞれの特性から得意とする用途が異なっています。

コンデンサとは、電気を蓄えることができる電子部品です。二つの導体板(電極)の間に絶縁体(誘電体)を挟んだ構造で電圧をかけると電荷を蓄えて直流電流を遮断し、交流電流を通します。電子回路の安定動作やノイズ除去、電源回路の補助などの役割があります。

アルミ電解コンデンサ

アルミ電解コンデンサは、誘電体に酸化アルミニウムの薄膜を使用して電解液を電極として使っています。大きな静電容量を実現できるのが大きなメリットです。

メリット

大容量で低価格

同じ静電容量であれば、他のコンデンサに比べてはるかに小型化できて製造コストも低いため安価です。

電源回路の平滑化や、モーター駆動回路など、大きな電流を扱う用途で必ず必要な部品です。

低ESR・低インピーダンス化

ESR (Equivalent Series Resistance: 等価直列抵抗) やESL (Equivalent Series Inductance: 等価直列インダクタンス) を低減したものが多く、高周波領域でのノイズ除去性能が向上しています。

デメリット

極性がある

電解液を使用しているので極性があります。逆に接続するとコンデンサが破壊されたり、発火したりする危険性があります。無極性品もありますが容量や特性は限定的です。

寿命が短い

電解液の乾燥や化学的な劣化によって時間とともに静電容量が減少したり、ESRが増加したりします。

液漏れや電解液の乾燥により、温度・使用時間で容量減少やESR上昇が発生します。

寿命は周囲温度に大きく影響されるため高温下では特に劣化が早まります。

周波数特性が悪い

高周波になるとインピーダンスが急激に上昇するため、高周波回路には向きません。インダクタンス成分が大きく、高周波でインピーダンスが上昇します。

アルミ箔

フィルムコンデンサ

フィルムコンデンサは、ポリエステルやポリプロピレンなどのプラスチックフィルムを誘電体として使用します。誘電体損失が非常に小さく、高周波特性に優れているのが特徴です。

メリット

優れた周波数特性

誘電体損失が小さいために高周波領域でも安定した性能が出せます。オーディオ機器や通信機器、スイッチング電源の高周波フィルターなど、高い周波数応答が必要な回路に使われています。低ESR・低インダクタンスで、スイッチング電源や音響回路に最適です。

高い信頼性・長寿命

化学反応を利用していないため、経年劣化が少なく、長期間にわたって安定した性能を維持できます。化学的劣化が少なく、数十年レベルの寿命も可能です。

極性がなく、交流回路でも安全に使用できます。

広い温度範囲で容量変化が小さいのも特徴です。

高耐圧

誘電体の厚さを調整することで、高電圧に耐えられる製品が作りやすいのも特徴です。

無極性

交流信号や反転可能な電圧波形でも使用できます。

デメリット

大容量化がむずかしい

アルミ電解コンデンサと同じ静電容量にするためには、アルミ電解コンデンサに比べて体積が大きくなりますので、大容量が必要な用途には向いていません。数μFを超えると物理サイズが急激に大きくなります。

低電圧品が中心

高耐圧品もあるが、サイズと価格が大きくなります。

価格が高い

アルミ電解コンデンサに比べて、製造コストが高くて一般的に高価です。容量単価はアルミ電解に比べ数倍から十倍以上です。

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