アルミ蒸着とは製作方法、メリットや効果について

アルミホイル 解説

アルミ蒸着について、メリット、効果や製造方法、アルミ蒸着フィルムについても解説します。

アルミニウムの蒸着とは

アルミ蒸着とは、真空中でアルミニウムを加熱して蒸発させたアルミの微粒子を基材の表面に付着させる技術のことです。

プラスチックフィルムや紙、布などの表面に薄いアルミの膜を形成することができます。

蒸着技術は、金属の特性を保持しながら基材の特性も活かせるために多様な分野で利用されています。

真空環境で純アルミニウムを加熱して蒸発させ、その蒸気となったアルミニウム原子や微粒子を、プラスチックフィルム、紙、布、ガラス、金属など、様々な基材の表面に凝縮・付着させます。薄いアルミニウムの膜を形成する高度な表面処理技術です。

蒸着法としては、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング法、イオンプレーティング法など、用途や要求される膜質に応じて蒸着法が決められます。

アルミ蒸着のメリットや効果

アルミ蒸着には以下のようなメリットや効果があります。

軽量性と柔軟性

軽量で、なおかつ金属の特性を持っています。金属を使用するよりも軽量化できて取り扱いやすくなります。

金属のアルミの特性を持ちながら、極めて薄い膜であるために基材の軽量性や柔軟性を損なうことなく、金属の機能性を持たせることができます。

優れたバリア性

酸素や水蒸気を遮断し、食品包装などに適しています。アルミニウム薄膜は、酸素、水蒸気、光(特に紫外線)、香りなどを高度に遮断するバリア層として機能することによって食品や医薬品の長期保存、電子部品の劣化防止などに役立ちます。

高い反射率と放熱性

光や熱を反射するため、断熱材や光学製品に利用できます。アルミは可視光だけでなく、赤外線などの電磁波も効率的に反射しますので、太陽光反射フィルム、断熱材、照明器具の反射板、さらには電子機器の放熱対策などに応用されています。

コスト削減

少量のアルミニウムで金属の特性が持てるので材料コストが低くなります。少しのアルミニウムで広く表面に金属の機能を付与できるので安くなります。

デザイン性の向上

金属光沢を与えることができて、高級感や装飾性を付与できます。

電気伝導性

アルミは電気伝導性に優れているため、フレキシブルエレクトロニクスや電磁波シールドなどの応用分野で利用できます。

アルミ蒸着の製造方法

  • アルミ蒸着は真空蒸着法などによってこのように製造されます。
    • 基材のセット:プラスチックフィルムや紙などの基材を装置内にセット
    • 真空引き:チャンバーを真空にすることで、酸化や不純物の付着を防ぐ
    • アルミの加熱・蒸発:アルミニウムを抵抗加熱や電子ビーム加熱で蒸発
    • 蒸着:蒸発したアルミ粒子が基材表面に均一に付着させて薄膜を形成
    • 冷却・巻き取り:蒸着後に冷却してロール状に巻き取る

アルミ蒸着フィルムについて

アルミ蒸着フィルムは、プラスチックフィルム(PET、PP、PEなど)の表面にアルミを蒸着したものです。

  • アルミ蒸着フィルムの特徴として次の点があります。
    • 透明性を維持しながらバリア性を高める
    • 柔軟性があり加工しやすい
    • 金属フィルムに比べてコストが低い

透明蒸着フィルム

透明蒸着フィルムは、光透過性を保って酸素や水蒸気を遮断するために食品包装分野で利用されています。非常に薄いアルミニウム層を形成することで、高いバリア性を維持して、ある程度の透明性を確保した透明蒸着フィルムです。内容物を確認できる包装材などに使われています。

アルミ蒸着フィルム

アルミ蒸着フィルムは、多くの分野で利用されています。

食品包装

スナック菓子、コーヒー袋、レトルト食品のパウチなど。スナック菓子、レトルト食品、飲料、医薬品などの包装材として、内容物の品質保持に不可欠です。

工業用途

電気・電子部品の絶縁材料や静電気防止シート。電子部品の包装、静電気対策フィルム、断熱材、太陽光反射シート、リチウムイオン電池の部材など、幅広い分野で活用されています。

農業用途

温室用の反射シートや育苗用フィルム。温室の遮光・断熱フィルム、育苗シートなど、作物の生育環境を最適化するために利用されます。

装飾用途

メタリック調の包装紙やラベル。ギフト包装、メタリックラベル、壁紙など、意匠性を高めるために用いられます。

医療分野

医薬品のパッケージや滅菌用パウチ。医薬品包装、医療機器の滅菌包装など、衛生管理に利用されています。

これらの用途では、軽量かつ高いバリア性を持つアルミ蒸着フィルムの特性が活かされています。

アルミ蒸着の今後について

アルミ蒸着技術は、今後、次のような展開が期待されます。

環境負荷の低減

リサイクルしやすい素材との組み合わせや、アルミ使用量の削減技術の開発。リサイクル可能な基材との組み合わせや、少ないアルミニウムで高い機能性を実現する技術開発がすすんでいます。バイオマス由来のフィルムへの蒸着など、持続可能な社会の実現に貢献する技術が求められています。

高機能化

より薄く、より耐久性のある蒸着膜の開発。均一で薄く、耐久性、耐候性、耐薬品性に優れた蒸着膜の開発がすすんでいます。ナノテクノロジーとの融合によって新たな機能を持つ薄膜材料も期待されます。

新規用途の開拓

エレクトロニクスやエネルギー分野(太陽電池・バッテリー材料)への応用。フレキシブルエレクトロニクス、ウェアラブルデバイス、エネルギーハーベスティング、センサーなど、先端技術分野への応用がすすむと予想されています。軽量で柔軟な特性を活かした用途開発が注目されています。

プラスチックの使用削減が求められる中、アルミ蒸着フィルムを活用した環境に優しいパッケージング技術の開発がすすんでいます。

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