アルミ缶やアルミのボトル缶などはBPAフリーなの?体に大丈夫?

解説

BPAフリーは、製品にビスフェノールA(BPA)という化学物質が使用されていないことを示す表示です。

現在のアルミ缶やボトル缶の多くは、BPAフリー塗料を使用しており、安全性は非常に高くなっています。日本やEU、米国ではBPA溶出基準が厳しく管理されていますので、通常の使用で健康へのリスクはほとんどありません

BPAフリーとは

「BPA」とは「ビスフェノールA(Bisphenol A)」の略称で、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂などの原料として広く使われてきた化学物質です。多くの食品・飲料缶の内側のコーティング材(エポキシ樹脂)、プラスチック製の哺乳瓶、食器、レシートの感熱紙などに幅広く使われてきました。

このBPAは、人体のホルモン(特にエストロゲン)に似た作用を持つ「環境ホルモン(内分泌かく乱物質)」の一種とされており、微量でも長期的な摂取による健康影響が懸念されています。特に胎児期の曝露は、発達への影響や問題行動の増加と関連する可能性があって哺乳瓶などへの使用が規制されています。

そこで、哺乳瓶やベビー用品、食品容器などでは、BPAを使用しない製品が求められるようになり、「BPAフリー(BPAを含まない)」という表示が広く使われるようになりました。乳幼児への影響を懸念して、多くの国や地域で乳幼児向け製品への使用規制がすすんでいます。

アルミの飲料缶はBPAフリー?

アルミ缶やスチール缶は、飲料が金属に直接触れないように「内面塗装」が施されています。腐食防止や味の劣化防止のために内面塗装がされているわけです。

昔はこの内面塗装に、BPAを含むエポキシ樹脂が多く使用されていましたが、BPAの安全性への懸念が高まるようになって、飲料メーカーや缶メーカーは段階的に「BPAフリー塗料」への切り替えをすすめています。

今では、主要な国内メーカー(東洋製罐、昭和電工マテリアルズなど)およびグローバルブランド(コカ・コーラ社、アサヒグループ、サントリーなど)は、ほとんどの製品でBPA非含有または微量不検出の代替樹脂塗料を採用しています。代表的なBPAフリー樹脂には、ポリエステル系やオレフィン系の塗料があります。

アルミの飲料缶は大丈夫?

現在市販されているアルミ缶ボトル缶飲料は、健康面でほぼ問題ない状態にまで管理されています

日本の食品衛生法(厚生労働省告示第370号)やEU規制(Regulation (EU) )、米国FDAの基準に基づき、BPAやその他化学物質の溶出量は厳しく制限されています。

国内メーカーでは製造時に「溶出試験」や「食品接触安全性評価」を実施しており、BPAが検出限界未満であることを確認していますので、通常の飲用環境では人体への悪影響はないとされています。

ただし、長時間高温にさらしたり、再利用したりする場合は、内面塗装が劣化するおそれがあるために、一度開封した缶飲料を容器ごと保管や再加熱するのはやめたほうがいいでしょう。

現在市場に出回っているアルミ缶・ボトル缶は、厳しい食品安全基準をクリアして製造・販売されており、日常的な利用において過度に心配する必要はないとされています。

アルミの飲料缶の製造工程

アルミ缶は、主にアルミニウム合金(3000系など)を原料として次の工程で製造されます。飲むときに開ける缶エンド材は5000系が使われます。

3000系アルミニウム合金

3000系アルミニウム合金とは、主にMn(マンガン)を添加し、純アルミニウムの強度を高めたアルミニウム合金です。純アルミニウムに比べても加工性、耐食性を低下させることがなくて強度と溶接性を高めたアルミニウム合金です。

5000系アルミニウム合金

5000系アルミニウム合金は、主にMg(マグネシウム)を添加した合金で、アルミニウム合金の中ではよく使われる合金なので用途は多岐に渡ります。Mgの含有量が多くなると、比熱処理合金の中では高い強度を持ち、溶接性も良好であり、溶接構造材として船舶や車両、化学プラントなどに使用されています。

アルミ板の成形(カップ成形・深絞り加工)

厚さ0.2~0.3mmほどのアルミ板を円盤状に打ち抜き、深絞り・アイアニング加工によって缶の胴体を成形します。

洗浄・脱脂

成形後の缶を薬液や純水で洗浄し、油分や金属粉を完全に除去します。

内面塗装(ライニング)

食品と金属の接触を防ぐため、内面に樹脂塗料をスプレーまたはコーティングします。この塗料が以前はBPA含有エポキシ系でしたが、現在はBPAフリーのポリエステル系・アクリル系が主流です。

外面印刷・塗装

ブランドロゴやデザインを印刷し、保護用のトップコートを施します。

焼付け・乾燥

200℃前後で加熱し、塗料を硬化させます。

蓋(エンド)取り付け・検査

飲料充填後、アルミ製の蓋(エンド)を巻締め機で密封します。最後に、気密性・外観・重量などの検査を経て出荷されます。

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