他の金属に比べると比較的やわらかいアルミニウムの板などの曲げ加工について詳しく解説します。
アルミは他の金属に比べて柔らかく、曲げ加工も容易です。
アルミニウム板を曲げる方法としては、ロール曲げ加工やベンダー曲げ加工、プレス曲げ加工などがあります。
靭性(じんせい)とは、材料の粘り強さや、外力によって破壊されにくい性質ですが、アルミは靭性が低く、壊れやすい性質があります。曲げ加工ではクラックに注意する必要があります。
弾性とは、外力を加えたときに変形しても、その力を除くと元の形に戻る性質ですがアルミは弾性が高く、曲げ加工をした場合に元に戻ってしまうスプリングバックにも注意が必要です。
曲げ加工の方法
ロール曲げ加工
ロール曲げ加工とは、ロールベンダーを使って、金属板をローラーの回転力によって曲げ、円筒形やアーチ状などの曲面形状にする加工方法です。
ロールベンダーには、円筒形のローラーが3本三角形に配置されていて、その間にアルミを通すことで曲げます。
ロールの太さを変えることによっていろいろな大きさに加工できます。半円状のロールを使用するなどの方法でテーパー状にすることもできます。
ベンダー曲げ加工
ベンダー曲げ加工は、アルミを特定の角度や形状に折り曲げる加工で、プレスブレーキとも呼ばれており、アルミを直線的に曲げるのに使われます。
プレス機械であるベンダーに金型を装着してアルミ板などを曲げます。上型(パンチ)と下型(ダイ)の金型で加圧して加工することで、V曲げやL曲げなどの曲げ加工をします。
圧力の加え方や、ダイとパンチの形状によっていろいろな加工ができます。
金型が必要になるのでコストがかかる点や、ロール曲げ加工と違って曲線曲げに適さない点がデメリットと言えます。
プレス曲げ加工
プレス曲げ加工は、金属の板などを曲げる加工方法です。
ベンディング加工とも呼ばれており、単純な部品の成形から建材や複雑な自動車ボディなどの製品成形に使われています。
- プレス曲げ加工の仕組みは次のとおりです
- パンチ(上側の金型)とダイ(下側の金型)にアルミ板などを挟む
- 加圧してアルミ板を折り曲げる
- 金型に沿った形に成形します
- プレス曲げ加工は次のような特徴があります
- 精度の高い曲げには「そり」の対策や緻密な金型設計が必要
- 曲げでアルミ板が割れたり、仕上がりの曲げ角度にズレができる場合がある
プレス加工は、アルミ板などを金型に当てて加工機で圧力を加えて材料を金型の形にする加工方法です。
切断、曲げ、絞りなど、いろいろできて複雑な形状の部品の製造もできます。
- 金型、圧力の加え方によって次の種類があります。
- L曲げ
- U曲げ
- Z曲げ
- R曲げ
- O曲げ
- ヘミング曲げ
- 押さえ巻き曲げ
なお、アルミ板などのプレス曲げ加工の場合は、スプリングバックに気を付けて圧力を加えるようにします。
スプリングバックとは、曲げ加工などで材料を曲げた後に荷重が除去された時、材料が元の形状に戻ろうとすることです。

アルミ板の曲げ加工の注意点
アルミ板は柔らかくて曲げやすいですが、加工時には注意する点があります。
それは、2つあり靭性と弾性になります。
靭性とは金属の粘り強さを示す数値で靭性が高ければ高いほどその金属は壊れにくい性質があります。アルミは靭性が低い傾向にあります。
弾性は金属が元に戻ろうとする性質であり、アルミは弾性が高いほうになります。
クラック
アルミは靭性が低いために曲げ加工時に圧力を加えるとクラックが発生しやすくなります。
- クラックを防ぐには次の点に注意します。
- アールを大きくする
- 材料の圧延方向と曲げ線を直角もしくは角度をつける
プリングバック
アルミは弾性が高くて加工時に圧力を加えると元の形状に戻りやすい性質を持っています。加工時には部材の特徴を把握して、圧力を加えなければなりません。
- 次の点に気をつけます。
- スプリングバックを意識して圧力をかける
- 曲げ加工した部分を圧縮してスプリングバックを制御する
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