アルミ圧延品価格のフォーミュラ制とは?店売り価格、ひも付き価格との関連性について

解説

アルミ板条製品や押出製品などのアルミ圧延品価格は、アルミ地金価格、添加金属価格、燃料価格、加工賃の4つの要素で構成されて販売されていますが、それとのフォーミュラ制との関係、ひも付き、店売り販売価格について解説します。

アルミ圧延品価格の決まる要因

アルミ圧延品(板・箔・条など)の価格は、次の要因によって決定されます。

地金価格

ロンドン金属取引所(LME)のアルミ価格や日本国内のプレミアム(MJP)地金価格は、ロンドン金属取引所(LME)などの国際的な市場で取引されており、世界的な需給バランスや経済情勢によって変動します。

加工コスト

圧延・熱処理・表面処理などの工程によるコストです。アルミニウムを圧延して製品にするための製造コストも価格に反映されます。これには、エネルギーコスト(電力など)、人件費、設備費、メンテナンス費用などが含まれます。加工賃の内訳はメーカーの副資材コストや人件費、マージンなどから成っています。

流通コスト

メーカーから商社・問屋を経てエンドユーザーに届くまでの費用(運賃など)

需給バランス

国内外の需要・供給の状況

その他要因

為替レート、エネルギーコスト、規制・関税など

地金価格と製品価格の関係

アルミ圧延品の価格は、基本的に地金価格+圧延加工費(ロールマージン)で決まります。

地金価格はLME価格やMJPに連動しており、加工費は、材料特性や厚み、精度などの要求により変動します。需給によっては追加のプレミアムが発生することもあります。

価格決定の基準となるのがフォーミュラ制であり、地金価格と製品価格の連動を明確にする役割を持っています。

アルミ板

フォーミュラ制とは?フォーミュラ制と価格

フォーミュラ制とは、アルミ圧延品の価格を一定の計算式(フォーミュラ)で決める方式です。アルミ地金価格については大口顧客から支給材を受けるケース以外では、四半期ごとに基準価格を変動させるフォーミュラ制が一般的となっています。

一般的なフォーミュラの例としては、「LME価格 + MJP + 加工費 + プレミアム」があります。

・LME価格:世界市場でのアルミの基準価格
・MJP(Main Japanese Port):日本向けのアルミプレミアム
・加工費:メーカーの加工コスト(厚み・表面処理・特殊仕様などで変動)
・プレミアム:需給状況により追加される価格

このフォーミュラによって価格の透明性が確保されて長期契約でも一定の基準で価格が決まります

ヒモ付き価格と店売り販売価格の違い

アルミ圧延品の販売方式には「ヒモ付き価格」と「店売り価格」があります。

項目ヒモ付き価格店売り価格
販売形態大口契約・定期取引少量小口販売・単発購入
価格決定フォーミュラ制による計算式市場の需給や在庫状況で変動
購入単位数トン単位の大量取引1枚・1本単位の少量小口取引
価格交渉事前の長期契約で決定店頭価格・交渉次第

大手メーカーや商社はフォーミュラ制に基づくヒモ付き価格で取引していますが、少量小口購入者向けには店売り価格が適用されるために価格が割高になることがあります。

流通コストや商社・問屋マージンへの影響

アルミ圧延品の価格には、流通に関わるコストも加味されています。

メーカー → 商社 → 問屋 → 小売・ユーザーと流れるごとにマージンが上乗せになります。

大口取引では直接契約もできますが、少量小口販売では中間マージンが増えます。在庫リスクや配送コストも店売りの値段に影響してきます。

まとめ

フォーミュラ制は、大口取引の価格決定に透明性を付与する仕組みですが、店売り価格には適用されないことが多いために、少量小口購入者にとっては値段が変動しやすくなります。

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