アルミ合金の種類と大型材、KOK軽金属押出形材について価格動向も解説

解説

アルミニウムは軽量で強度が高く、加工性や耐食性、導電性にも優れています。アルミ合金の種類や加工方法による違い、大型押出材や特定の軽金属押出開発株式会社(KOK)について解説します。

建築、輸送、電機、航空などでアルミニウムの活用がますます多くなっています。アルミの基礎知識から、大型押出材、KOK軽金属押出形材まで解説します。

アルミニウム合金の材質の種類

アルミニウム合金は、純アルミニウムに他の金属元素を加えることで強度や耐食性、加工性などの性質を向上させた材料です。大きく分けて2つにわけれます。

熱処理合金

熱処理合金は強度を上げるために熱処理を必要とします。

2000系(Al-Cu系)

航空機用など高強度が求められる用途向け。

6000系(Al-Mg-Si系)

建材や輸送機器、一般構造材に広く使用。

7000系(Al-Zn系)

高い強度を持ち、自転車・航空機などに使用。

非熱処理型合金

加工硬化で強度を上げます。

1000系(純アルミニウム)

高い耐食性と電気伝導性をもちます。

3000系(Al-Mn系)

家電筐体・屋根材などにつかわれます。

5000系(Al-Mg系)

耐食性と溶接性に優れ、船舶や車両部材につかわれます。

A2017とA5052の違いについて強度、耐食性、切削加工性及び溶接性

板材と押出材のアルミ合金の材質の種類

アルミ合金はその形状や使用方法によって、最適な材質が異なります。

板材(圧延材)に用いられる主な合金

インゴットを熱間圧延や冷間圧延によって薄く延ばしてつくられます。建材、缶材、自動車用パネル、航空機外板などに使用されています。

1050、1100(純アルミ)

成形性・耐食性が高く、装飾や食品用途につかわれます。

3003、3004(Al-Mn系)

屋根材、外装パネルにつかわれます。

5052、5083(Al-Mg系)

船舶、車両、油槽タンクなどにつかわれます。

押出材(押出成形用)の主な合金

加熱したビレット(円柱状のアルミニウム塊)をダイス(金型)に通して押し出すことでいろいろな断面形状の形材を作る加工法です。サッシ、カーテンウォールや自動車部品、構造材、放熱フィンなどの幅広い用途に利用されます。押出材によく用いられる合金は次のとおりです。

6063(Al-Mg-Si系)

建築用サッシ、内装材に。美観と耐食性に優れています。

6061

強度と加工性のバランスが良く、機械部品や構造材に適用されます。

7005、7075(Al-Zn系)

高強度で、スポーツ用具や航空機につかわれます。

押出材は、ダイスの形状を変えることで複雑な断面形状を持つ製品を一体で成形できる点が大きな特徴です。特に中空形状や多室構造など、他の加工法では難しい形状も容易に実現できます。

合金の種類による価格について

アルミ合金の価格は、次の要因により変動します。

合金成分の違い

銅(Cu)や亜鉛(Zn)を多く含む合金(2000系、7000系)は、原材料コストが高くなる傾向があります。

純アルミ系や3000系、5000系は比較的安価な傾向があります。

加工性・需要による違い

一般建材に使用される6063は大量生産されているため比較的安価ですが、高強度かつ特殊な用途に使われる7075などは高価となっています。

市場需給・原材料相場の影響

国際アルミ地金価格(LME)に連動して価格は日々変動しています。為替やエネルギーコストも大きな影響を与えています。

大型押出材の種類と軽金属押出開発について

大型押出材とは、断面の幅や高さが一般サイズを超えるアルミ形材で、主に建築構造部材や輸送機器の骨格などに使用されます。航空機や新幹線、電車車両です。

大型押出材の特徴

高強度・大断面でも軽量であるため、構造の軽量化に貢献します。押出であれば、継ぎ目のない構造を実現できます。

軽金属押出開発の製造範囲

軽金属押出の技術進化により、製造可能な範囲は広がっています。

KOK軽金属押出形材の概要

  • KOK(軽金属押出開発株式会社)は、軽金属の大型の高精度押出を得意とする技術があり次の特長があります。
    • 独自の金型設計により複雑な形状の高精度成形が可能。
    • 長尺かつ大断面の一体成形を実現し、組立工数の削減。
    • 航空機・建築・産業機械向けの高機能部材に対応。

KOK(軽金属押出開発株式会社) 会社案内

軽金属押出開発株式会社
http://www.k-o-k.co.jp/

三重県四日市市小古曽東2丁目2-2

アルミの大型押出製品(形、管、棒)の製造

対応断面サイズ

最大幅は約700mm~800mm(メーカーによって異なる)で、肉厚は、0.8mm~50mm程度(用途に応じて)

長さと重量

長さは、通常6m~12m。特殊対応で20m超もできる。重量は、1本あたり最大300kg以上の製品も対応可能。

製造精度と表面処理

公差は、±0.1mm程度の高精度成形が可能。表面処理では、アルマイト、粉体塗装、機械加工等、多様な仕上げに対応します。

KOKは、一般的な押出メーカーでは対応が難しい大断面、複雑断面、肉厚の異なる形状などの押出材を提供することで、従来の金属材料では実現困難だった構造や製品の軽量化、コスト削減、機能向上に貢献しています。特に、鉄道車両のダブルスキン構造材や大型産業装置のフレーム材など、高い技術力が求められる分野でその強みを発揮しています。

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