アルミハニカムパネルは、軽量、高精度、美観を重視する場合は接着がおすすめで、強度、耐熱性、長期安定性を求める場合は溶接が適しています。値段は接着の方が製造方法が簡単なので安くなります。それでは詳しく解説します。
アルミハニカムパネルとは
アルミハニカムパネルとは、軽量で高剛性を得る目的で開発されたアルミニウムの構造材です。
外側(表面・裏面)にアルミ板(スキン)を使って、その間にハニカム(蜂の巣状)構造のアルミコアを挟み込んだサンドイッチ構造になっています。アルミハニカムパネルは、高剛性と軽量化を両立させたことが最大の特徴です。
- アルミハニカムパネルは、これらの特長があります。
- 軽量性、スチールやアルミ単板よりも大幅に軽くなります。
- 高剛性と耐曲げ性、ハニカム構造が荷重を面全体に分散するためです。
- 寸法安定性、熱変形が少なく、平面度が高い特徴があります。
- 防火性と耐候性、建築用や車両などで優れた耐久性能を発揮します。
アルミハニカムパネルは建築外装パネル・車両・船舶・内装・クリーンルーム・航空機部品など幅広い分野で採用されています。

アルミハニカムパネルの接合方法
アルミハニカムパネルはアルミのパネル同士をつなぐ、または下地(フレーム)に固定するために、接着、または溶接の方法が用いられます。
ただし、ハニカムパネルは中空構造であるため、一般的な板金溶接が困難な場合も多く、接合方法の選定は構造設計上の重要なポイントです。
接着の場合であれば、表面に接着剤を塗布して接合しますが、外装パネル・内装部材などでの利用が多いです。
溶接の場合は、TIG溶接やMIG溶接などで金属的に一体化しますが、フレーム・補強部・機械構造部などに利用されることが多いです。
接着の場合
接着による接合は、エポキシ・アクリル系などの構造用接着剤を用いてパネル表面またはアルミスキンを接合します。
特徴としては熱影響がないために、パネル内部のハニカムコアを損傷しにくく、広い面で荷重を分散できで、応力の集中が少なくなります。
脱脂・サンドブラスト・プライマー塗布などの表面処理が適切であれば、長期的な接着強度が得られます。また、自動車や建築用パネルの量産工程にも適しています。
注意点としては、接着面の処理が不十分な場合には、剥離や劣化の原因となることがあります。また、高温・高湿環境下では、接着剤の選定が重要になりますし、接着してしまっているので分解や再利用が困難になってきます。
溶接の場合
溶接による接合は、アルミスキンやフレーム部をTIG溶接(アルゴン溶接)またはMIG溶接によって溶接します。
TIG溶接とは、タングステン電極と不活性ガス(Inert Gas)を使用したアーク溶接の一種です。MIG溶接は、不活性ガスをシールドガスとして使用するアーク溶接の一種で、ワイヤー状の溶接棒が自動で供給される半自動溶接です。
アルミの溶接には高い技術と熱管理が必要ですが、金属的に一体化できるという大きなメリットがあります。
特徴としては、接着に比べて高い構造強度や耐熱性が得られますし、長期的な荷重や振動環境でも緩みにくいのが特徴です。また、コーナー部や補強フレームとの接合に最適です。
注意点としては熱によってスキンやコアが変形や焼損するおそれがあることと、ハニカム構造体全体を溶接することは困難な場合があることです。ともかく高い溶接技術と治具が必要になってきます。
そのため、アルミハニカムパネルでは、溶接は主に周辺フレームや補強部のみにして使用されることが多いです。
溶接と接着のメリットとデメリット
| 項目 | 接着 | 溶接 |
|---|---|---|
| 強度 | 面接合による均一な強度 | 金属的接合で局部強度が高い |
| 熱影響 | なし(コアを損傷しない) | あり(変形・焼損リスク) |
| 耐久性 | 接着剤の経年劣化に注意 | 長期的に安定 |
| 体裁面(美観) | 仕上がりがきれい | 溶接痕が残ることも |
| 費用 | 溶接に比べると安い | 接着より高くなる |
| 再利用(修繕) | 難しい(剥がせないため) | 一部であれば補修など可能 |
溶接と接着の価格
溶接は技術的にむずかしい側面もあって、価格面では、接着の方が一般的に安価になります。
| 項目 | 接着 | 溶接 |
|---|---|---|
| 材料費 | 接着剤が必要だが低コスト | 溶接ワイヤや溶接機が必要 |
| 加工費 | 常温・治具固定で作業容易 | 溶接の熟練に依存 |
| 総合コスト比較 | 溶接に比べると安い | 接着より高くなる |
量産品や外装パネルなどは接着、機械構造体や高荷重部は溶接というように、用途に応じた使い分けることで経済的に選定できます。



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