高市氏が総理大臣となり、その政権下の積極財政政策によって財政出動が大幅に増えた場合、一般的にはアルミニウム地金価格が上昇する可能性はあります。これは、財政出動による景気刺激と需要増加の期待に基づいています。
もし、高市政権下で積極的財政出動が増加すれば、国内需要の増加や円安効果を通じて、アルミニウム地金価格を押し上げる方向に作用すると考えられますが、国際的な市場動向が最大の決定要因となります。それでは、詳しく解説します。
財政出動とアルミニウム価格への影響
財政出動がアルミニウム地金の値段に影響を与える主なメカニズムは次のとおりです。
公共投資による需要増加
公共事業の増加では、財政出動の典型である公共事業(インフラ整備など)が増えると、建設資材としてのアルミの需要が高まります。アルミニウムは建材、交通インフラ、エネルギー関連設備など幅広く使われています。
関連産業の活性化においては、公共投資が関連する製造業(自動車、機械など)を活性化させ、これらの産業でのアルミニウム使用量も増加します。
経済成長と景気期待
景気回復の期待が高まります。大規模な財政出動は、景気回復への期待を高めて企業や消費者の投資・支出を促します。
ただしインフレの懸念も出てきます。財政規模の拡大は、場合によってはインフレ(物価上昇)を引き起こす要因となって、アルミニウムの価格も上がりやすくなります。
為替レートの影響
円安が進む可能性もあります。積極的な財政出動の規模や方法によっては、日本円が対ドルで安くなる(円安になる)可能性があります。アルミニウム地金は国際市場でドル建てで取引されるため、円安になると、輸入価格である円建ての価格は上昇します。

その他の要因
ただし、価格が実際に上昇するかどうかは、世界的なアルミの需要と供給のバランスにも関係してきます。アルミニウム価格はロンドン金属取引所(LME)など国際市場の動向が大きく影響します。
LMEとは、London Metal Exchangeの略で、ロンドン金属取引所のことです。 1883年に上場された銅をはじめとする非鉄金属(他に亜鉛・鉛・ニッケル・アルミニウムなど)や鉄、プラスチックなどの先物取引所です。
アルミ地金の値段は日本の財政出動だけではなく、中国や欧米などの需要、主要生産国の供給状況が価格を決定づけます。
財政出動の内容にもよります。どのような分野に資金が投入されるか(例:デジタル投資、防災など)によって、アルミニウムの直接的な需要への影響度は異なります。
高市氏の具体的な経済政策ですが、高市氏が提唱する経済政策「サナエノミクス」などの具体的な内容や、財政出動の規模や継続性によって市場の反応は変わってきます。
その他、エネルギー価格も関係してきます。アルミニウムの精錬は大量の電力を消費するためにエネルギー価格(特に電力料金)の変動もコストを通じて価格に影響します。
なお、ゴールドマン・サックスは、2025年下半期のアルミ価格予想を上方修正しており、供給超過幅が縮小すると見ているという報道もあります。また、国内でもアルミ地金価格(NSP等)は今後やや価格上昇見通しが立っており、「10円/kg上昇見込み」といった予測もあります。
アルミNSP(New Standard Price)とは、変動するアルミ地金の相場を製品価格に反映させるための日本国内のルールです。3ヶ月ごとに、過去の月間平均地金相場を基に計算され、1の位を四捨五入して「エキストラ」としてプラス10円された価格が、その期間の適用価格となります。



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