アルミニウムの鏡面仕上げ加工について詳しく解説

アルミ板 解説

アルミニウムは軽量で加工性に優れており、耐食性も高いことから、幅広い分野で使用される非鉄金属ですが、「アルミの鏡面仕上げ」は、美観と機能性の両方を備えた加工方法としてよく利用されています。アルミの鏡面仕上げについて、目的や方法、適した材質、費用の目安まで詳しく解説します。

アルミの鏡面仕上げとは

アルミの鏡面仕上げは、アルミニウム表面を研磨・仕上げ加工することで、まるで鏡のように平滑かつ高光沢にする処理のことです。

通常の機械加工後のアルミ表面は曇っていたりして、マットだったりしますが、鏡面仕上げでは光の反射率が高くて、顔が映るほどの光沢できます。

この仕上げをすることことによって、「見た目」の美しさだけではなく、汚れや腐食の防止、光の反射性向上、放熱・放射性能の向上など、実用面でも多くのメリットがあります。

アルミは軽くて強い

アルミの鏡面仕上げの用途

鏡面仕上げされたアルミニウムは、次のような用途で利用されています。

建築・内装材

エレベーターパネル、天井材、外装材など。店舗の内装、展示什器、照明器具、家具の一部などに使用され、空間に光と奥行きを与え、モダンで洗練された雰囲気を創出します。

装飾部品

自動車・バイクの外装パーツ、家具、家電のパネルなど。内装トリム、エンブレム、ホイール、エンジンカバーなど、高級感や個性を演出したい部分に用いられます。

光学用途

反射板、照明リフレクター、ソーラーパネル基材。反射鏡、ライトガイド、LED照明のヒートシンク兼反射板など、光を効率的に反射させる必要がある部分に利用されます。

食品・医療機器分野

清潔さと耐腐食性を求める設備・装置の部品。内視鏡部品、手術器具の一部など、高い清浄度が求められる箇所や、美観が重視される機器に採用されます。

電子機器分野

放熱性能やデザイン性が求められる部材に使われます。スマートフォン、ノートパソコン、テレビ、オーディオ機器などの外装部品や操作パネルに採用され、製品の高級感やデザイン性を高めます。

外観だけでなく、清掃性や機能性が重視される分野でも使われています。

アルミホイル

アルミの鏡面仕上げの方法

鏡面仕上げには主に次のような方法があり、目的や材質によって選択されます。

機械研磨(バフ研磨)

回転するバフ(布製のホイール)に研磨剤を塗布して、表面を磨く方法です。職人の技術によって高精度な鏡面が得られます。最も一般的な方法で、小ロットや装飾用途に適します。

電解研磨(電解ポリッシング)

アルミニウムを電解液中で陽極として通電して、表面の微細な凹凸を電気化学的に平滑化させる方法です。大量生産や均一性が求められる医療・食品用途に適しています。

化学研磨

薬品によって表面を化学的に溶解・整える方法です。電気を使わずに、処理が簡便なため、コスト面でメリットがありますが、仕上がりの品質は電解研磨に劣る場合があります。

ロールミラー仕上げ(圧延仕上げ)

鏡面に加工されたロールで圧延することで、高光沢の仕上げを行う方法です。アルミの板材を大量生産する場合に圧延メーカーで用いられます。

鏡面仕上げに向いているアルミの材質

鏡面仕上げの仕上がりには、母材(アルミの種類)が大きく影響します。次のような材質が特に適しています。

A1050(純アルミ)

純度が高く(99.5%以上)て、柔らかく、加工性が良いために、最も鏡面仕上げに向いている材質です。反射率が高く、装飾・光学用途に適しています。

A1100

A1050に近い純アルミ系材料で、若干の耐食性向上が見込まれます。バフ研磨や化学研磨にも対応しやすいです。

A5052(アルミ・マグネシウム合金)

やや硬く強度もあるために構造用途にも使用されますが、仕上げには熟練の研磨技術が求められます。反射率は純アルミよりやや劣ります。

アルミの鏡面仕上げの費用・値段

鏡面仕上げの費用は、使用する加工方法、材質、サイズ、数量、求める光沢度によって大きく異なります。

加工方法単価の目安(小ロット)特徴
バフ研磨3,000~10,000円/㎡手作業が多く、丁寧な仕上がり
電解研磨2,000~6,000円/㎡均一な仕上がり、量産に適する
化学研磨1,500~4,000円/㎡簡易だが品質はやや劣る
ロールミラー圧延100~500円/㎡(板材単価)量産向け、反射板などに使用

これらは、あくまで目安であり、実際の見積もりには製品形状・公差・数量などの詳細が必要です。

鏡面仕上げは、外観だけでなく機能性も兼ね備えた高度な加工技術です。用途や目的に応じて、最適な加工方法と材質を選定することが重要です。

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