アルミのチャンネルとは
アルミニウムのチャンネル材は、その断面形状が日本語の「コ」の字、アルファベットの「C」の字に似ているので、この名前がつけられています。チャンネル材は押出圧延品です。
建材、構造材、装飾材などで使われていて、軽量性、耐食性、加工性のよさなどのアルミニウムの利点を活かせる材料としてよく利用されています。構造的に安定性があることから、荷重を支えるフレームや補強材として使われています。
アルミのアングル材との違い
アルミチャンネル材と似た材料にアルミアングル材(L字型断面)がありますが違いは断面形状です。
- アルミのチャンネル材(C型、コ型)は3つの面で構成されており、奥行きがあるため、ねじれや曲げに対する強度が高いのが特徴で、内側に空間があるため、配線やパイプなどを隠蔽する用途にも適しています。
- アルミのアングル材(L型)は2つの面で構成されており、軽量です。直角の接合や補強、または端部の見切り材として使用されます。
構造材として使用する場合、チャンネル材はより大きな荷重を支えることができますが、アングル材は簡易的な補強や装飾、部材の固定などに用いられることが多いです。
チャンネル材の材質
アルミニウムチャンネル材に使用される材質は、用途や必要な強度、耐食性によっていろいろな材質があります。
A6063(6000系アルミニウム合金)
一般的に使用されるアルミ合金が「A6063」で、押出成形に適しています。強度と加工性のバランスが良くて耐食性、溶接性、表面処理性にも優れています。建材、サッシ、手すり、一般構造材などに利用されています。JIS H 4100で規定されています。
A6061(6000系アルミニウム合金)
A6063よりも強度が必要な場合に使われます。耐食性や溶接性も良好で、航空機部品、船舶部品、自動車部品、機械部品など、より高い強度と信頼性が求められる場合に用いられます。JIS H 4100で規定されています。
A5052(5000系アルミニウム合金)
マグネシウムを主成分とする合金で、特に耐食性、特に海水に対する耐食性に優れています。中程度の強度を持ち、溶接性も良好です。船舶、車両、化学プラント、圧力容器などに使用されます。JIS H 4000で板、JIS H 4100で棒、形材が規定されています。
これらの以外で、高強度なA7075(超々ジュラルミン)や、特定の特性を持つ合金が使用されることもありますが、チャンネル材としてはA6063が一番多くなっています。
アルミのチャンネルの規格
アルミニウムチャンネル材の規格は、主にJIS(日本産業規格)によって定められています。
JIS H 4100 アルミニウム及びアルミニウム合金押出形材
この規格は、アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材全般に関する化学成分、機械的性質、寸法許容差などを規定しています。チャンネル材もこの規格の対象となります。
寸法
チャンネル材の寸法は、ウェブ(底辺)の幅、フランジ(立ち上がり部分)の高さ、板厚(ウェブおよびフランジ)によって定義されます。JISでは、これらの寸法に対する許容差が細かく規定されており、公差は押出形材の種類(例えば一般形材、精密形材など)や寸法によって異なります。
アルミのチャンネルの用途
建築・建材
* 窓枠、ドア枠、カーテンウォール、パーテーションのフレーム
* 手すり、階段の扶手、笠木
* 内装・外装の意匠材、見切り材
* 太陽光パネルの架台、補強材
* 展示会ブースや店舗什器の骨組み
構造材
* 機械装置のフレーム、架台
* コンベア、ライン設備の骨格
* 軽量構造物の梁、柱、補強材
車両・船舶
* トラックの荷台フレーム、バンパー
* 鉄道車両の内装材、構造材
* 船舶のマスト、デッキ材、内装材(A5052など耐海水性に優れる合金が使われる)
電気・電子
* 放熱器(ヒートシンク)の一部
* 配線ダクト、ケーブルトレー
* 電子機器の筐体、フレーム
その他
* 家具、ディスプレイ什器
* 看板、表示板のフレーム
* DIY用途
アルミのチャンネル材の製造工程
アルミニウムチャンネル材は「押出成形」で作られます。
地金(ビレット)の準備
アルミニウム合金のインゴット(地金)を円筒状に鋳造し、ビレットにします。これが押出成形における材料となります。
ビレットの加熱
ビレットを200~500℃程度の高温に加熱し、軟化させます。これにより、金属がダイス(金型)を通過しやすくなります。
押出成形
加熱されたビレットを、油圧プレスによって強力な圧力でダイス(チャンネル形状にくり抜かれた金型)の中に押し出します。軟化したアルミニウムはダイスの穴を通ることで、チャンネル形状に連続的に成形されます。
冷却
押出されたチャンネル材は、熱い状態から急冷されます。空冷や水冷によって、形状を固定し、組織を整えます。
引張り矯正(ストレッチ)
冷却されたチャンネル材は、歪みがでることがあります。これを専用の引張り矯正機で引っ張ることで、真っ直ぐに矯正し、内部応力を除去します。
切断
所定の長さに切断されます。通常、定尺(例えば4mや6m)に切断されますが、顧客の要望に応じて任意の長さに切断することも可能です。
時効処理
使用する合金の種類(特にA6063、A6061などの熱処理型合金)によっては、強度を高めるために時効処理(熱処理の一種)が行われることがあります。
材料を一定温度で保持することで、組織を変化させ、強度を向上させる工程です。
表面処理
そのままでも使用できますが、耐食性や美観をさらに向上させるために表面処理が施されることがあります。アルマイト処理(陽極酸化処理)、塗装、電解着色などが行われることがあります。
アルミのチャンネルの価格
アルミニウム地金の国際相場
アルミニウムは国際商品であり、LME(ロンドン金属取引所)などの国際市場における地金価格の変動が、製品価格に直接影響します。
材質(合金の種類)
A6063が最も一般的で安価ですが、A6061やA5052など、特定の特性を持つ合金は、その成分や加工の難易度から価格が高くなる傾向があります。
サイズと肉厚
チャンネル材のウェブ幅、フランジ高さ、肉厚が大きいほど、使用する材料の量が増える、単重が大きくなるため、価格は高くなる傾向があります。
製造ロットと数量
大口、大量に発注するほど、単価は安くなる傾向があります。小口、少量生産や特注品は、割高になることが多いです。
表面処理
アルマイト処理、塗装などの表面処理を施す場合、その費用が加算されます。特に特殊な色や機能性を持たせる場合は、さらにコストがかかります。
加工
切断、穴あけ、曲げなどの二次加工を依頼する場合、その加工費が上乗せ(エクストラ価格)されます。
輸送費
発注量や納品場所によって輸送費も変動します。
流通経路
商社を通すのかメーカー直販なのか、市中の問屋など小売店が入るのか、購入経路によっても価格設定が異なります。
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