アルミダイカストは、アルミの部品などを高精度で大量生産できる金属加工技術です。自動車部品からスマートフォンの筐体まで、私たちの身の回りには多くのアルミダイカストが使われています。
アルミダイカストの基礎知識から、他の加工法との違い、メリット・デメリット、さらにはコストや塗装まで詳しく分かりやすく解説します。
アルミダイカストとは?
アルミダイカスト(Aluminum Die Casting)は、溶かしたアルミニウム合金を、精密な金型の中に高速・高圧で注入して、瞬時に冷却・凝固させて成形する鋳造法の一つです。
「ダイ」は金型、「カスト」は鋳造のことです。プラスチック成形のような感じで金属製品をつくれる効率の良い工法です。
一般的には、数十MPa以上の圧力でアルミ溶湯を金型に充填し、冷却・凝固させて製品を得ます。寸法精度が高く、薄肉・複雑形状の製品を大量に生産できるため、工業製品の量産に広く利用されています。
アルミダイカストの材質と種類
使用されるアルミニウム合金は、用途に合わせてJIS規格で「ADC」という記号で分類されています。
| 材質名 (JIS) | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| ADC12 | 最も一般的。流動性が良く、加工バランスに優れる。 | 自動車部品、家電、汎用部品 |
| ADC10 | ADC12に近いが、強度と耐圧性がやや高い。 | エンジン部品など |
| ADC5 | 耐食性が高く、陽極酸化処理(アルマイト)に向く。 | 船舶部品、装飾品 |
| ADC6 | 耐食性と延性に優れる。 | 建築金具、カバー類 |
ADC12が最も一般的です。鋳造性・強度・コストのバランスが良く、自動車部品や機械部品に多く使われています。これらはJIS規格で定められており、用途や要求性能に応じて選定されます。
アルミダイカストの特徴
メリット
サイクルタイムが短く、短時間で大量製品できるので、高い生産性があり、金型を使用するため、複雑な形状でも高い精度でつくれます。
また、圧力をかけてつくるので、他の鋳造法では難しい薄い形状も可能です。さらに優れた表面肌でできます。鋳肌が美しく、そのまま、あるいは軽い仕上げで塗装ができます。
デメリット
精密な金型が必要なため、初期費用がかかってしまいます。内部欠陥の巣の問題もあります。高速でアルミを注入するため、空気が混じりやすく「巣」ができやすいです。
さらに、大型品は制約があります。大型の場合、巨大な設備が必要になるため、大きな製品はコストが上がります。
「鋳造(砂型など)」や「圧延品」との違い
鋳造(砂型・金型鋳造)との違い
一般的な鋳造、砂型などは重力を使って溶湯を流し込みますが、ダイカストは「圧力」を使います。
砂型は、少量多品種向きで、精度は低いが、型代が安いです。ダイカストは大量生産向きで、精度が非常に高いが、型代が高いという特徴があります。
圧延品との違い
アルミ圧延品はアルミをローラーで伸ばした板や棒のことです。圧延品は強度が高く均質ですが、複雑な立体形状を作るには削り出し(切削)が必要で、材料ロスが多くなりますが、ダイカストは複雑な3D形状をいっきに成形できるので材料ロスが少なくなります。
アルミダイカストの主な用途
軽量で強度があるため、輸送機器を中心に幅広く使われています。
自動車では、エンジンブロック、トランスミッションケース、ホイール、家電やIT関係であれば、ノートパソコンのフレーム、カメラのボディ、ヒートシンク(放熱板)など。
産業機械ではモーターハウジング、工具のカバーなどです。
ダイカスト製品の塗装と表面処理
- アルミダイカストは耐食性がありますが、外観向上や保護のために次のような塗装が行われます。
- 粉体塗装、膜厚が厚く、耐久性に優れています。
- 溶剤塗装、色の自由度が高く、光沢を出しやすい。
- 電着塗装、複雑な形状の隅々まで均一にコーティングできる。
価格・コスト
アルミダイカストのコストは、大きく分けて「金型代」と「製品単価」に分かれます。
金型代は、数百万円~数千万円になることもあります。ショット数(寿命)で割って計算します。
製品単価は、アルミ地金価格 + 加工賃(電力、人件費) + 二次加工(バリ取り、切削)で算出されます。
損益分岐点は、数千個~数万個以上のロットであれば、1個あたりの単価が他の工法より圧倒的に安くなります。
国内の主なダイカストメーカー
- 日本には次のとおり世界屈指の技術を持つメーカーが多数あります。
- リョービ、世界最大級の独立系ダイカストメーカーです。
- アーレスティ、自動車用を中心にグローバルに展開しています。
- ミノグループ、精密部品や薄肉ダイカストに強みがあります。
- 旭テック、鋳造から加工までの一貫体制です。



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