アルミスパンドレルについて材質、用途、施工方法や値段を解説

解説

アルミニウムの優れた特性を活かして建築物の外装や内装などでよく施工されている「アルミスパンドレル」について、特徴やメリット、価格などを詳しく解説します。

アルミスパンドレルとは

アルミスパンドレルとは、建築物の外壁や天井、軒天などに使われる長尺の金属化粧パネルのことです。

「目透かし張り」という隙間を設けて、意匠的な張り方が多く採用され、直線的でシャープな外観となります。軽量で耐候性に優れており、メンテナンス性もよいので、商業施設やマンション、公共施設などで広く採用されています。

コーキングが不要な施工ができるので、継ぎ目の劣化が少なくて、美観を長期間維持できるのも大きな特長です。

アルミスパンドレルの材質

アルミスパンドレルには主として押出材としてポピュラーなアルミニウム合金の6061や6063が使用されます。これらのアルミ合金は耐食性や加工性に優れており、建築用途に適した素材です。表面処理としては、アルマイト処理(陽極酸化処理)が一般的です。

その他、粉体塗装仕上げで、耐候性を高めるものもあり、これはカラーバリエーションが豊富にあります。木目調シート貼りでリアルな木目を再現して、温かみのあるデザインのものもあります。

アルマイト処理(陽極酸化処理)とは、アルミニウムの表面に人工的な酸化皮膜を生成させる表面処理のことです。電気分解を利用して、アルミニウムを陽極(+極)として電解液中で処理し、表面に酸化アルミニウムの皮膜を形成します。これにより、耐食性や耐摩耗性が向上し、装飾的な外観を得ることもできます。

アルミスパンドレルの用途

  • アルミスパンドレルは次のような施工場所で使われています。
    • 天井材(屋内・屋外)として、駅や空港、マンションのエントランスなど。
    • 軒天・庇裏として、雨風にさらされる場所でも高い耐久性を発揮します。
    • 外壁材としてカーテンウォール構法の中間パネルや防火区画の外装材として。
    • 内装壁材としてオフィスや学校、病院などの内壁にも採用されています。

軽量で加工性が高いため点検口の設置や曲面への対応も簡単です。さらに、防火認定を取得した製品も多くて準耐火構造の建物にも使用できます。

アルミスパンドレルの施工方法

スパンドレルの施工は次の手順で行われます。

1.下地組

スパンドレルを固定するための下地(軽量鉄骨下地など)を組みます。この下地がスパンドレルの平滑性や強度を支えるため、正確な墨出しと水平・垂直の確保が重要です。

2.吊り金具・野縁の設置

下地に吊り金具や野縁(スパンドレルを直接取り付けるための部材)を設置します。スパンドレルの種類や寸法に合わせて、適切なピッチで設置します。

3.スパンドレルの取り付け

はめ込み式、クリップ式、ビス留め式などがあります。

4.端部処理

壁際や開口部などの端部は、専用の継ぎ手材やコーナー材、見切り材などを使用して美しく納めます。

アルミスパンドレルの価格

価格は材質や仕上げ、サイズによって異なりますが、以下が一般的な相場です。

種類単価(1㎡あたり)
無塗装アルミ約2,000~3,500円
アルマイト処理済み約3,500~5,500円
粉体塗装仕上げ約5,000~8,000円
木目調シート貼り約6,000~10,000円

オーダーメイドや特殊形状の場合は、金型代などが必要になるので、さらに高額になることがあります。また、施工費や副資材費は別途必要です。

あくまで一般的な目安であり、個別の見積もりが必要ですが、例えば、一般的なアルマイト処理されたスパンドレルであれば、幅や形状にもよりますが、1mあたり数千円から数万円程度がひとつの目安となるでしょう。フッ素樹脂焼付塗装品や特殊な加工品は、この価格帯を上回ることがあります。

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