アルミの断熱サッシの仕組み、メリットやデメリット、製品の紹介などを詳しく解説します。
アルミの断熱サッシの歴史
アルミサッシは、その耐久性や加工のしやすさから、かつては日本の住宅で広く普及していましたが、アルミは熱伝導率が高いため、断熱性能が低いという欠点があります。日本では冬は寒くて、夏は暑いという住宅環境の問題点となっています。
断熱性能の重要性が認識されるようになりから、アルミサッシのデメリットを改善するためにいろいろなアイデアや改善が加えられてきました。
その一つにアルミと樹脂を組み合わせた複合サッシの開発です。外側は耐久性の高いアルミにして、内側に断熱性の高い樹脂を使うことで、強度と断熱性を両立させることに成功しました。
最近では、ガラスの性能向上も著しく、複層ガラスやLow-Eガラスといった高断熱ガラスが普及し、アルミサッシと組み合わせることで、より高い断熱性能を実現できるようになりました。
複層ガラスは、複数枚のガラスを重ねて、その間に乾燥空気やアルゴンガスなどを封入ましたり真空にしたガラスのことです。ガラスが2枚の複層ガラスは「ペアガラス」、3枚の複層ガラスは「トリプルガラス」と呼ばれています。
一方で「Low-Eガラス」とは、ガラスの表面にLow-E膜といわれる特殊な金属膜(酸化錫や銀)をコーティングしたガラスのことです。複層ガラスなどに使われています。

アルミの断熱サッシの仕組み
アルミの断熱サッシは、いろりろな要素によって断熱性能を高めています。
アルミと樹脂の複合構造
外部に耐久性の高いアルミを使って、部屋内の室内の方に断熱性の高い樹脂を使用することで、熱の伝わりを遮断するようにしています。
複層ガラス
2枚以上のガラスの間に乾燥空気を封入することで、断熱性能を高めています。
Low-Eガラス
ガラス表面に特殊な金属膜をコーティングすることで、熱の放射を抑えて断熱性能を高めています。
断熱スペーサー
ガラスとガラスの間にあるスペーサーに樹脂などの断熱材を使うことで、熱橋(熱の伝わりやすい部分)を減らしています。
これらの要素が組み合わさることで、従来のアルミサッシに比べて大幅に断熱性能が向上して冷暖房効率の向上や結露の抑制になっています。
アルミの断熱サッシのメリットとデメリット
メリット
耐久性・耐候性
アルミは腐食に強く、長期間の使用に耐えます。
*アルミは腐食に強いというよりも、元々表面だけが腐食していますので、それ以上腐食がすすまないという意味で腐食に強いと言われています。
強度
アルミは、構造材としての強度が高くて大きな窓や開口部にも使用できます。
デザイン性
アルミであれば、シャープなデザインが可能で、意匠性の高い住宅にも適しています。
リサイクル性
アルミはリサイクル性が高く、環境負荷の低減に貢献します。
デメリット
樹脂サッシに比べて断熱性能が劣ります。樹脂に比べると熱伝導率が高いために断熱性能はやや劣ってしまいます。寒冷地では、樹脂サッシの方が適している場合があります。
価格は、樹脂サッシに比べると比較的安価ですが、従来のアルミサッシに比べると高価になってしまいます。
アルミサッシの以外の製品との比較
主なサッシの種類として、アルミサッシ、アルミ樹脂複合サッシ、樹脂サッシがあります。それぞれの特徴を比較します。
サッシの種類 | メリット | デメリット |
アルミサッシ | 安価、耐久性、強度 | 断熱性能が低い、結露しやすい |
アルミ樹脂複合サッシ | アルミの強度と樹脂の断熱性を両立、結露しにくい | 樹脂サッシより断熱性能が劣る、価格はアルミより高い |
樹脂サッシ | 断熱性能が非常に高い、結露しにくい | 価格が高い、紫外線に弱い場合がある |
アルミの断熱サッシで売れている製品やメーカー
アルミの断熱サッシは、各サッシメーカーからいろいろな製品が販売されています。代表的なメーカーと製品の一部をご紹介します。
YKK AP
「APW330」「エピソードNEO」など、高性能なアルミ樹脂複合サッシをラインナップとしています。
リンク: https://www.ykkap.co.jp/consumer/search/products/window
LIXIL
「サーモスL」「防火戸FG-L」など、防火性能や断熱性能に優れた製品があります。
リンク: https://www.lixil.co.jp/lineup/window/series/
三協アルミ
「マディオJ」「アルジオ」など、デザイン性と機能性を両立した製品を提供しています。
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