アルミサッシは耐久性・耐食性に優れた建材ですが、経年劣化や意匠変更などで再塗装したいということもあります。
しかし、アルミサッシの多くはアルマイト処理が施されており、鉄や木材とは塗装とは少し違っています。アルマイトの上から塗装する場合の可否、適切な塗装方法、注意点について詳しく解説します。
アルミのアルマイトの上からの塗装
アルマイトとは
アルマイト(陽極酸化皮膜)は、アルミ表面を電解処理して形成される酸化アルミニウム皮膜です。
この皮膜は、非常に硬くて、耐摩耗性が高く耐食性や耐候性に優れており、表面に微細な孔(ポーラス構造)があります。ただし、このアルマイトは、化学的に安定しており、塗料が密着しにくくなります。
アルマイトの上から塗装は可能か
適切な下地処理を行えば塗装は可能ですが、下地処理が不十分な場合、塗膜は塗膜が浮いたり、端部から剥がれることがあります。指でこすると粉状に落ちる(チョーキング後の剥離)こともあります。
アルマイト皮膜が「塗料を吸い込まず、化学的結合もしにくい」ためです。アルマイト塗膜の場合は、そのまま塗れる下地ではないといえます。
アルマイトの表面は非常に滑らかで、塗料が引っかかるための「足がかり」がほとんどないために普通のペンキをそのまま塗ると、乾燥後に爪で引っ掻くだけでペリペリと剥がれてしまうことがあります。
塗装の方法
洗浄・脱脂
まず、表面に付着した汚れを完全に除去します。中性洗剤やアルミ対応の脱脂剤を使用して、十分に水洗いして乾燥させます。
足付け(目荒らし)
アルマイトの表面は非常に平滑でつるつるなために、塗料が物理的に食い込む余地がないので、サンドペーパーや不織布研磨材を使って足付けを行います。
No240~No400程度が一般的です。研磨しすぎて素地を露出させないようにして、均一にムラなく行います。この工程が不十分だと、塗膜剥離の原因になります。
プライマー(下塗り)
アルミ用プライマーは必須工程です。エポキシ系プライマー、変性エポキシ系密着プライマー、アルミ専用下塗り材(クロメートフリータイプなど)などを使います。
プライマーは、アルマイト皮膜との密着、上塗り塗料との接着橋渡しという役割を担います。
上塗り塗装
上塗りには、用途や環境に応じて次の塗料が使われます。ウレタン塗料(耐候性・柔軟性)、フッ素塗料(高耐久・高耐候)、アクリルシリコン塗料(コスト重視)などです。
刷毛・ローラー・吹付けのいずれも可能ですが、サッシの場合は吹付け仕上げが最も均一で美しくなります。
塗装の注意点
アルマイトの上から塗装すると剥がれやすいのか
「アルマイトの上から塗ると剥がれる」と言われることがありますが、下地処理とプライマー選定が不適切なケースの場合です。足付け不足、プライマー未使用、アルミ非対応塗料の使用でなければ、実用上問題ない耐久性を確保することは十分できます。
塗装後の耐久性の限界
ただし、工場塗装(電着塗装・焼付塗装)と比べると、現場塗装はどうしても耐久性が劣ります。再塗装は10~15年程度が目安、強い衝撃や擦れには弱く開閉部・可動部は摩耗しやすいことを理解した上で施工することが重要です。
塗装してはいけない部分
戸車・レール部、パッキン・ゴム部、鍵・金物類の部分は原則として塗装を避けます。これらに塗料が付着すると、動作不良や劣化の原因になります。
「1液型」よりも「2液型」を選ぶ
DIY用のスプレーなどは手軽ですが、耐久性は低めです。硬化剤を混ぜて使う「2液型」の塗料は、乾燥後に非常に硬く丈夫な膜を作るため、開閉による摩耗が多いサッシに適しています。
膜厚を厚くしすぎない
サッシは可動部です。塗膜を厚く塗りすぎると、窓の閉まりが悪くなったり、こすれてそこから剥がれの原因になったりします。「薄く、均一に」を意識しましょう。


コメント