アルミニウムは、鉄とは違って、赤錆が発生しないのでアルミは錆びないと思われていますが、実はアルミは鉄よりも錆びやすいのです。
実際は、大気中の水分で錆びているのですが、その錆びが表面だけに薄い膜になっていて、錆びに気づいてないだけです。錆びの原理について、ステンレスと比較して詳しく説明します。
ステンレスと比較
アルミは、ステンレスと同じの性質を持っていて錆びにくい金属になります。空気中の酸素とアルミの表面が反応して酸化皮膜を発生させて錆びることを防いでいます。
錆びについてもステンレスと同じく酸化皮膜が壊され、錆びやすくなってしまいます。ステンレスについて説明します。
ステンレスは、英語では「Stainless Steel」となり、直訳すると「ステンレス鋼」というのが正式名称となります。
「Stainless Steel」は、直訳すると「錆びない鋼」となっていて、錆びやすい鉄に代わる金属としてつくられています。
発明されてから100年程度しか経っていなくて、アルミと同じように新しい金属で、耐食性や強度を向上させるために主成分の鉄(Fe)にクロム(Cr)やニッケル(Ni)が混ぜられた合金です。
ステンレス鋼は、ISO規格では、主成分の鉄(Fe)のほかに、炭素を1.2%以下、クロムを10.5%以上含む合金鋼となっています。
錆びは、鉄が空気中の酸素や水分と化学反応を起こして、腐食して、溶けだした鉄と酸素や水分が結びついたものが錆びとなります。
鉄の場合は、腐食した表面を放置すると、内部まですすんでしまって、組織全体を破壊してしまいます。
ステンレスが錆びないのは、ステンレスに含まれているクロムが鉄より酸素と結びつきやすいという性質があるために、鉄が酸化するよりも早くクロムが酸化すして、表面をサビの膜が表面に形成されて、この膜が錆の進行を防いでくれるためです。アルミと錆びない原理が似ています。

酸化アルミニウムの薄い膜
アルミニウムは空気中にあると表面に酸化アルミニウムの薄い膜を生成します。その膜で自らを保護しているのです。
このため、アルミは耐腐食性に優れた金属となり、錆に対しては強い性質を持っていることになっています。
ただし、保護膜の酸化アルミニウムの薄い皮膜が破壊されると錆びてしまいます。
この膜は、アルカリ性や酸性には弱くて、そのような環境下では薄い酸化アルミニウム皮膜は破壊されてしまい、腐食してしまいます。
アルカリ環境ではアルミニウムは腐食に弱くなります。
ただし、アルミの場合は、鉄の錆びとは違っていて、金属の内部へ錆びがすすむことはなく、表面を薄く膜状になるだけで、この薄い膜が、アルミの内部に錆びがすすまないように保護する役割をしています。
アルミは錆びにくいと思われていますが、実際は表面に薄くサビてしまっているのです。
逆に鉄の場合は、表面だけに留まらずに、ほおっておくと、どんどん内部までサビがすすんでいって、最終的には全体がボロボロになってしまいます。
通常は、アルミニウムも屋外に放置して雨に濡れたりすると黒くなったり白くなったり、白い斑点ができたりします。
屋外への一時置きやトラックへの積み下ろし、配送中にも雨に濡れないように注意をしなければなりません。
アルミ圧延の工程の溶体化処理で水冷をするときは、すぐに乾燥するので腐食の心配はありません。
アルマイトすると
さらにアルミの表面に人工的に酸化皮膜を生成するアルマイト処理(陽極酸化処理)をすることで、耐腐食性能をあげることができます。アルマイトは、耐腐食性能をあげるだけでなく、耐摩耗性の性能もあげることができます。
ニコニコアルミについて
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