アルミニウムは身の回りで、とても多く使われています。飲料缶や窓のサッシ、車、電車や飛行機の部品まで様々なものに使われています。アルミニウムはリサイクルによって何度も再利用できる素材なんです。アルミのリサイクルに関する基礎知識から再利用後の用途、リサイクルの経済性までを詳しく解説します。
アルミニウムのリサイクルとは
アルミニウムのリサイクルとは、使用済みのアルミ製品をスクラップとしてを回収し、溶かして再び新しいアルミニウムとして再生する工程のことです。
アルミのリサイクルは他の金属と比べて効率が良く、元の品質をほとんど損なうことなく何度でも再利用できるのが大きな特長です。
アルミの製造において最もエネルギーを使うのはボーキサイト鉱石から金属のアルミを取り出す精錬の工程ですがリサイクルであれば、この精錬が不要になるので、約95%のエネルギーが節約できてしまいます!環境にもコストにも優しい金属なのです。
リサイクルはどんなものを?
- アルミニウムのリサイクル対象となるものには次のようなものがあります。
- アルミ缶(飲料缶、食品缶など)
- アルミ建材(窓枠、サッシ、外壁材など)
- 自動車部品(エンジン部品、ホイールなど)
- 家電製品(スマホ、冷蔵庫やエアコンの一部)
- 航空機や鉄道車両の部材
これらは回収された後に、分類し選別されて溶解炉に入れられ、再び「地金(インゴット)」として鋳造されます。アルミ缶はアルミの純度が高いのでリサイクルしやすい金属なんです。

リサイクルして何になるの?
回収されたアルミは溶解し再精製されて「再生アルミ」として新しい製品になります。
再びアルミ缶になります
飲料缶はリサイクル率が高く、缶から缶への「カン・トゥ・カン」リサイクルが進んでいます。
建材に再利用
アルミサッシやパネルなど、住宅やビルの建築資材として使われます。
自動車部品
軽量化がどんどんすすんでいる自動車では、再生アルミがエンジンブロックやフレームなどに使用されます。
電子部品・家電製品
放熱性や加工性に優れるため、さまざまな部材に再利用されます。
日用品・その他
鍋やフライパンなどの調理器具、スポーツ用品、レジャー用品など、幅広い分野でリサイクルアルミが利用されています。
アルミ合金のアルミ以外の成分は?
アルミニウム製品の多くは「アルミ合金」であり他の金属が混ぜられている合金です。
純アルミに他の金属を加えて強度や加工性、耐食性などを高めています。
- アルミの代表的な添加元素は次のとおりです。
- 銅(Cu)は強度と硬度を高める(ジュラルミン)
- マグネシウム(Mg)は強度と耐食性を向上させます
- シリコン(Si)鋳造性を良くし、溶けやすくします
- マンガン(Mn)や亜鉛(Zn)は強度向上や耐摩耗性アップさせます
このような成分は、リサイクル時にも調整されて用途に応じた合金の成分にされます。最新のリサイクル技術では、これらの合金成分を効率的に分離・除去し、目的の品質のアルミニウムを製造する技術が進化しています。
精錬するより安いの?
圧倒的に安い!です。アルミニウムをリサイクルして再生する方が、ボーキサイトから新しく精錬するよりもはるかにコストを抑えられます。
アルミニウムの新地金(精錬アルミ)は、ボーキサイトという鉱石を採掘し、「アルミナ」へ精製した後、電気分解によって金属アルミにするという工程がありますが、この工程には大量の電力が必要で、コストもかなりかかっています。
アルミニウムのリサイクルは、回収したスクラップを溶解して再利用するだけなので、必要なエネルギーは精錬のわずか3%程度で済むと言われています。これは、95%ものエネルギー削減に相当します。この圧倒的なエネルギー削減が、リサイクルコストの低さの大きな要因となっています。
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