アルミニウムは軽量で加工性や耐食性に優れ、建築、機械、電子機器、輸送機器など幅広い分野で使用されていますが、アルミは温度変化によって大きく伸び縮みする金属です。
その性質を表す重要な物理値が線膨張係数(Coefficient of Linear Expansion)です。
アルミの線膨張係数を正しく理解していないと、温度変化による部材の変形、接合部の破損、機械の精度低下といった設計トラブルの原因になります。
アルミの線膨張係数とは
線膨張係数とは、温度が1℃変化したとき、材料の長さがどれだけ変化するかを示す値です。
単位は通常10-6 / K、またはμm / (m・K)で表されます。例えばアルミの場合、約23 × 10-6 /Kです。これは1mのアルミが1℃上がると0.023mm伸びることを意味します。
*10-6は、10のマイナス6乗です。
アルミニウムの大きな特徴の一つに、熱膨張しやすいという点があります。これは分子構造の結合が比較的柔軟であるためで、精密な寸法精度が求められる設計では、この数値を正確に把握しておくことが必要です。
アルミの線膨張係数データ
一般的なアルミニウムの線膨張係数は次の通りです。
| 材料 | 線膨張係数 |
|---|---|
| 純アルミ | 約23.5×10-6/K |
| 一般アルミ合金 | 約22~24×10-6/K |
多くの工業設計では23×10-6/Kが代表値として使われます。
*10-6は、10のマイナス6乗です。
アルミ合金の材質別線膨張係数
アルミ合金は成分によって膨張係数が少し変わります。
| アルミ合金 | 線膨張係数 |
|---|---|
| A1050 | 約23.5×10-6/K |
| A2017(ジュラルミン) | 約23.2×10-6/K |
| A2024 | 約23.2×10-6/K |
| A5052 | 約23.7×10-6/K |
| A6061 | 約23.6×10-6/K |
| A6063 | 約23.4×10-6/K |
| A7075 | 約23.5×10-6/K |
アルミ合金は種類が変わっても線膨張係数はほぼ同じです。アルミニウムが主成分であるためです。
*10-6は、10のマイナス6乗です。
アルミの熱膨張量の計算式
アルミの膨張量は次の式で計算できます。
熱膨張量の基本式
ΔL = α × L × ΔT
意味は次の通りです。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| ΔL | 伸びた長さ |
| α | 線膨張係数 |
| L | 元の長さ |
| ΔT | 温度変化 |
計算例
例えば、アルミ長さ:1m・温度変化:30℃・線膨張係数:23×10-6の場合
ΔL = 23×10-6 × 1000mm × 30
結果は約0.69mmとなります。1mのアルミは30℃で約0.7mm伸びることになります。建築や機械設計では無視できない量です。
線膨張係数と温度の関係
線膨張係数は完全に一定ではありません。
温度が高くなると、わずかに増加する傾向があります。
例えばアルミの場合
| 温度 | 線膨張係数 |
|---|---|
| 20℃ | 約23×10-6 |
| 100℃ | 約24×10-6 |
| 200℃ | 約25×10-6 |
ただし通常の設計では室温付近の平均値が使用されます。
鉄や銅との線膨張係数の比較
アルミは他の金属より膨張しやすい特徴があります。
| 材料 | 線膨張係数 |
|---|---|
| アルミ | 約23 |
| 銅 | 約17 |
| 鉄 | 約12 |
| ステンレス | 約17 |
つまりアルミは鉄の約2倍膨張します。これが、アルミ建材・アルミサッシ・アルミ機械部品で注意が必要な理由です。
アルミ設計での重要な注意点
温度変化による寸法変化
アルミは膨張が大きいため長い部材、高温環境では設計誤差が生じます。例えば10mのアルミ材、温度差40℃では約9mm伸びる可能性があります。
また、切削加工時の摩擦熱でも膨張します。加工直後の寸法が正しくても、冷えると収縮して公差外になることがあります。
異種金属との接合
鉄とアルミを固定すると温度変化で応力、歪み、変形が発生します。対策としては、スライド構造、クリアランス確保、ゴム材使用などが行われます。
設計においてアルミと鉄を組み合わせるといった異材接合を行う場合、この膨張率の差が「歪み」や「破断」の原因となります。アルミは鉄の約2倍伸び縮みします。屋外設置の構造物などでは、この差が大きなストレスを生むため注意が必要です。
建築材料での膨張対策
アルミ建材では、伸縮目地、スライド固定、長穴などの構造がよく使われます。これは温度変化による熱応力破壊を防ぐためです。
アルミが膨張しやすい理由
アルミは原子構造的に金属結合が比較的柔らかいため、温度上昇で原子間距離が広がりやすい、結晶格子が伸びやすいという特徴があります。その結果線膨張係数が大きくなります。
アルミ線膨張係数の実務での使い方
実務では次の用途で使用されます。
- 機械設計
- 精密装置
- 半導体装置
- 測定機器
- 建築
- アルミサッシ
- カーテンウォール
- 屋根材
- 電子機器
- ヒートシンク
- 放熱板
- フレーム
このように熱膨張を考慮しないと精度低下、破損、異音、の原因になります。
Q&A
まとめを兼ねてQ&Aをつくりました。



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