アルミ箔についてアルミ板との違いなど用途や圧延、製造工程も解説

アルミ箔 解説

アルミ箔(アルミニウムホイル)についてアルミ板(アルミニウムプレート)の違いなどを解説します。

アルミ箔とは

純度の高いアルミを厚さ0.2mm~0.006mmまで圧延した薄くしたアルミ板がJISで規定されたアルミ箔となります。

アルミ箔は、アルミ箔だけで使われる場合と、フィルムや紙と貼り合わせされて使われる場合があります。

用途・需要分野別としては食料品、日用品、電気部品(コンデンサなど)などに分類されています。

家庭用アルミホイルの厚さは約12μm(ミクロンメートル)で、包装用では厚さ6~99μmのアルミ箔が使用されています。

ミクロンとは

μとは1000000分の1です。つまり1μm=0.000001m=0.001mmになります。

紙の厚さで例えると、厚さ0.240mmの紙は240μmとなります。

またμm(マイクロメートル)はmを省略し、μと表記し「ミクロン」と呼ばれることが多いです。

アルミ箔の性質

アルミ箔(アルミホイル aluminium foil)は、日本産業規格(JIS ジス)で厚さ200ミクロン、0.2mm以下のものを箔と定義されています。

紙やプラスチックのフィルムに比べて酸素や水蒸気などの気体を通し難い性質やガスバリヤー性があります。

電磁波などを遮断したり反射させる性質があるので、電波を遮断・反射し、遮光性もあり光を反射します。

はさみで切ると刃先に構成刃先という現象が起きて、一時的に切れ味が回復します。

アルミ箔とアルミ板

アルミ箔とアルミ板の違いは、板厚と柔軟性(硬さ・柔らかさ)が異なっています。

アルミ箔は、もともと純アルミに近いアルミで母材が製造されるために柔らかいのが特徴です。

一般的なアルミ板も1000番系の純アルミ系でつくられることもあります。

厚さ

アルミ箔は非常に薄くて、厚さは0.005~0.2mmですが、アルミ板は厚く、厚さは6ミリ~となっています。

柔軟性

アルミ箔は柔軟性があって簡単に曲げたり、形を整えたりできますが、アルミ板は硬くて、曲げたりすることがあまりできません。

アルミ箔の用途

アルミ箔(アルミホイル)は、柔軟性、軽量性、湿気、光、酸素を遮蔽するので包装、調理、家庭用に多く使用されています。

絶縁、電気シールド、自動車部品などの産業用途でも使われています。

アルミ板は、厚みと剛性が高いので強度と耐久性が必要な構造物である航空宇宙、自動車、鉄道車両、船舶の用途で使われています。

厚さ6~15μm

カップ麺容器のフタ、レトルト食品の袋、チーズの包装、バターやマーガリンの包装、キャラメルの包装、顆粒状の医薬品の分包、ホイルケース(弁当箱の中で惣菜の小分けなどに使われるヒダ状のアルミ箔加工品)など

厚さ15~50μm

ヨーグルト容器の蓋、コーヒーポーション(コーヒーフレッシュ、ミルク代用品)の容器の蓋、錠剤・カプセル薬の容器

厚さ50~100μm

鍋焼きうどん容器、グラタン容器、アルミ皿

製菓、菓子

チョコレート、ガム、ビスケット、ケーキ、アイスクリーム、羊羹(などを包)

酪農関連食品

バター、マーガリン、チーズ(などを包む)

飲料

健康飲料、乳酸飲料(ヤクルト)、粉末飲料、ドリンク剤などの容器(のフタ)
酒パックの容器

インスタント食品

カップ麺のフタ(調味料の袋)、レトルト食品、海苔茶漬け、冷凍食品の袋

薬品、化粧品、洗剤

粉末や顆粒の医薬品の袋、錠剤やカプセル剤の容器、化粧品の袋。(つめかえ用など)シャンプーや石鹸の袋

家庭用品

家庭用ホイル、台所などで使う加工製品

電気・電子部品

電解コンデンサ、その他の電気・電子部品

建設・建築

屋根材、断熱材、壁用材料、壁紙

繊維・アパレル

金・銀の糸(金糸(きんし)・銀糸(ぎんし))

農業、園芸

野菜・樹木の根覆い、果物・野菜類保存用

アルミ箔の製造

アルミ箔は、アルミ板の元が鋳造されたあとに薄くする(ロール)圧延でだんだん薄く延ばされて圧延製造されます。

アルミ素材メーカーでの圧延加工とアルミ箔メーカーでの仕上げ圧延の2段階で製造されます。

アルミ素材メーカー

(1)ボーキサイトから精錬によって純度99.5%~99.7%程度のアルミのインゴットを製造します。

(2)インゴットを溶解して、圧延用鋳塊(スラブ)をつくって面削加工をして、660℃程度まで加熱します。

(3)アルミニウムの再結晶温度である400℃以上になったスラブは熱間圧延によって厚板に加工、室温まで冷やされます。

(4)アルミ厚板は多段の冷間圧延によって0.4mmの薄さまで加工されます。

(5)圧延機のロールで圧縮されることで硬化したアルミの「箔地(はくじ)」ロールは電気炉でもう一度、350℃程度まで加熱されて「焼鈍し(やきなまし)」が行なわれて軟化されて、同時に圧延時についた油が蒸発して除去されます。

(6)1本約8トンの箔地ロールが箔メーカーへ送られる。

箔メーカー

(1)アルミ素材メーカーから送られた箔地ロールは、薄い箔を製造するために高速4段圧延機などの高圧力を出す冷間圧延機によって0.4mm~0.025mmまで圧延されます。

(2)圧延される前に重合機(ダブラー)により2枚が重ねられて、あいだに圧延油が噴霧されて圧延後はがしやすくされます。

(3)最後の圧延工程では1枚0.025mmのものが2枚、重合圧延機にかけられ0.012mmまで1度に圧延されます。

(4)圧延の後に分離機(セパレーター)で2枚にはがされます。

2枚の箔はそれぞれ1枚に、ロールと接触する外側とアルミ同士が向き合う内側の面が生まれます。

ロールと接触する外側面では圧延ロールの平滑な研磨面が写し取られるために、光沢を持った面ができます。

反対にアルミ同士が向き合う内側面では圧延油を介して自由に変形するために微小な凹凸ができて、光を乱反射する白っぽいつや消し面になります。

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