アルミニウムは、アルミ製品になるまでには多くの工程があります。
アルミ製錬は1889年にヨーロッパとアメリカで2人の青年、ホールとエル―が同時にアルミの製錬方法を発明しました。
アルミニウムの製錬の過程では電気が大量に使われます。
アルミニウムの原料は、ボーキサイトという赤褐色の鉱石で、これから水酸化アルミニウム、アルミナなどになって最後に銀色のアルミニウムがつくられます。
アルミナは1887年にオーストリアの化学者カール・バイヤーが発明したバイヤー法(湿式アルカリ法)によって製造されています。

ボーキサイト
アルミの原料となるボーキサイトは、オーストラリアやインドネシアで採掘されています。今は日本は、ボーキサイトを100%輸入しています。
ボーキサイトはアルミニウムの鉱石とも言われます。比較的軟らかいものです。
ボーキサイトの産出量と埋蔵量ですが、埋蔵量の確認されているのが多いのは、ギニア、オーストラリア、ベトナム、ブラジルです。
産出量は、オーストラリア、中国、ギニアなどが多く、中国はアルミニウムの消費量も多いのでボーキサイトを産出していても不足分を輸入しています。
アルミニウム(元素記号=Al、原子番号=13)は、地殻の中にあるものしては3番めに多い元素です。それよりも多いのは酸素とケイ素なので、金属ということであれば、アルミは1位です。
アルミニウムの原料であるボーキサイトという鉱石は、地球にある金属の材料中では、一番量が多い材料になります。
アルミは自然界でそのままで存在することはほとんどなく、ほかの元素と化合しています。このアルミニウムの化合物を含む、鉱石としては、長石・雲母・カオリナイトなどもありますが、工業的に利用されるのはボーキサイトです。
アルミの原料は、ボーキサイトと呼ばれる赤褐色の鉱石ですが、ボーキサイトをか性ソーダ液で溶かしてアルミン酸ソーダ液をつくってアルミナを抽出します。
粉砕されたボーキサイトにか性ソーダなどを混合し加圧加熱すると、ボーキサイト中のアルミナ分が溶け出してきます。
この中から、溶けない不純物を除去したあとかくはん、冷却すると、水酸化アルミニウムの結晶が析出してきます。
この結晶を真空ろ過機により取り出し、約1000℃前後の温度で焼成すると、純白のアルミナ(Al2O3)が誕生し、つぎにアルミニウムの電解製錬工程へと送られます。
アルミナ
アルミナを溶融氷晶石の中で電気分解することでアルミニウム地金を製造します。
ボーキサイトを水酸化ナトリウム溶液に溶かします。この溶液から水酸化アルミニウムを取り出します。
水酸化アルミニウムをおよそ1000度に加熱するとアルミナになります。このアルミナを電解炉に入れて融かします。炉の中に電流を流して炉の底にアルミニウムが溜まっていきます。
アルミニウムを作るには、大量の電力が必要です。ボーキサイトからアルミニウムを作っている工場を水力発電所などが支えています。アルミニウムは、電気の缶詰とも言われています。
水酸化アルミニウムとアルミナは白い粉末で、アルミニウムの原料としてだけではなく化学工学、窯業など多くの用途で使われています。
水酸化アルミニウムは結晶水を含み約200℃から脱水分解を開始する性質があり、酸やアルカリに溶けやすいなどの特徴があるために難燃化剤や工業用化学薬品の原料として使われています。
アルミナは、水酸化アルミニウムを焼成してつくられるもので、たいへん硬くて融点が2050℃と高い特徴があります。
また、電気絶縁抵抗も大きく化学的に安定しているなどの特徴があって、研磨剤や耐火物、セラミックスなどの原料として使われています。
アルミの精錬で経済的にすぐれた手法として今現在使われているのがホール・エルー法(1886年発明)という電気分解による製錬法です。
アルミニウムの酸化物であるアルミナを、氷晶石やふっ化アルミニウムを高温で溶かしたものに混合します。アルミナの融点が高いために電気分解が可能な温度(約1000℃)で溶解させるためです。
電解炉に入れ、電気分解によって還元すると、アルミナはアルミニウムと酸素とに分解され、溶けたアルミニウムは、電解炉の底にたまります。
溶けたアルミニウムを取り出して保持炉に移して必要な成分・純度に調整して用途に応じてインゴットあるいはスラブ、ビレットに鋳造されます。
インゴットは、アルミニウムの新地金と呼ばれ、スクラップから再生した二次地金(再生地金)と区別しています。
アルミ地金
アルミ地金を原料として圧延、押し出し・鍛造・鋳造などの加工してアルミ製品の素材にします。
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