アルミニウムのダイキャスト、鋳造、鍛造の違いについて

アルミは軽くて強い 解説

アルミのダイキャスト(ダイカスト)、鋳造、鍛造の違いなどについて解説します。

アルミダイキャスト

ダイキャストは、溶融したアルミニウム合金を金型に高速・高圧で注入して、成形する鋳造方式のひとつです。

ダイカストは自動車などや事務機器、家電用品など使用されています。複雑な形状の部品を大量生産するのに適しており、自動車部品や家電製品などに広く利用されています。

ダイカストマシンで、精密な金型の中に高速で充填した後に高い圧力をかけて、精度の良い鋳肌の優れた鋳物を短時間・大量に生産する鋳造です。

寸法精度が高くて鋳肌面が良好、設計度の自由度が高いなどの優れた品質が特徴です。

鋳物よりも高速の溶湯注入が必要なために溶かしたアルミにも高い流動性が必要になりますので、ほかのアルミ鋳物とは成分が異なっています。

材質の種類

アルミダイキャストの多くがのADC12によって製造されています。

ADC12はSi含有量が9.6~12.0%と、Siを高めに含有した合金です。

ダイキャストに使用されるアルミニウム合金は、主にAl-Si系、Al-Mg系、Al-Cu系などが挙げられます。

Al-Si系: 耐食性、鋳造性に優れ、複雑な形状の成形に適しています。
Al-Mg系: 強度、耐食性に優れ、構造部品などに使用されます。
Al-Cu系: 高強度、切削性に優れますが、耐食性はやや劣ります。

製造方法

1.金型に離型剤を塗布
2.溶融したアルミニウム合金を金型に高速・高圧で注入
3.凝固後、金型を開いて製品を取り出し
4.必要に応じてトリミングなどの後処理

主要な製品とその材質

自動車部品(エンジンブロック、ミッションケースなど):Al-Si系、Al-Mg系
家電製品(ハウジング、フレームなど):Al-Si系
通信機器部品:Al-Si系

相場価格

ダイキャスト製品の値段は、製品の形状、サイズ、使用する材質、数量などによって大きく変動します。一般的には、大量生産されるほど単価は安くなります。

国内の主要なメーカー

株式会社UACJ
東洋製罐グループホールディングス株式会社
アーレスティ株式会社

海外の動向

海外では、自動車の軽量化ニーズの高まりや、電気自動車(EV)の普及に伴い、ダイキャスト需要は増加傾向にあります。特に、中国や東南アジアなどの新興国で市場が拡大しています。

アルミ鋳造

鋳造(ちゅうぞう)は、溶融した金属を型に流し込み、凝固させて成形する方法の総称です。ダイキャストも鋳造の一種ですが、ここではダイキャスト以外の鋳造方法、例えば砂型鋳造、金型鋳造、低圧鋳造などを解説します。

アルミ鋳造とは、アルミニウム合金を溶かして鋳型の中に鋳込んで冷やして固めるプロセスで、基本的には溶かせる材料であればなんでも鋳造することができます。

材質の種類

鋳造に使用されるアルミニウム合金は、ダイキャストと同様にAl-Si系、Al-Mg系、Al-Cu系などが一般的ですが、その他にも様々な種類の合金が使用されます。

製造方法

鋳造方法には様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。

砂型鋳造: 砂で作られた型に溶融金属を流し込む方法。比較的安価で、大型の製品や少量生産に適しています。
金型鋳造: 金属で作られた型を使用する方法。寸法精度が高く、繰り返し使用できます。
低圧鋳造: 金型に低圧で溶融金属を注入する方法。鋳巣(内部の空洞)が少なく、高品質な鋳物が得られます。

主要な製品とその材質

産業機械部品:Al-Si系、Al-Mg系
建設機械部品:Al-Si系
美術工芸品:Al-Cu系

相場価格

鋳造品の値段は、製造方法、製品の形状、サイズ、使用する材質、数量などによって大きく変動します。

国内の主要なメーカー

株式会社鋳技
株式会社光精工

海外の動向

海外では、各国の産業構造やニーズに合わせて、様々な鋳造技術が発展しています。

地球儀

アルミ鍛造

鍛造は、金属を加熱し、ハンマーやプレスなどで圧力を加えて成形する方法です。鋳造に比べて強度が高く、靭性にも優れています。

アルミ鍛造は加工温度により、常温、もしくは再結晶温度以下でアルミ合金材料に圧力を加える冷間鍛造と、再結晶温度以上の高温下で圧力を加える熱間鍛造があります。

材質の種類

鍛造に使用されるアルミニウム合金は、主にAl-Mg-Si系、Al-Cu系などが挙げられます。

Al-Mg-Si系: 中程度の強度と優れた成形性を持ちます。
Al-Cu系: 高強度を持ち、航空機部品などに使用されます。

製造方法

1.アルミニウム素材を加熱
2.ハンマーやプレスなどで圧力を加えて成形
3.必要に応じて熱処理や機械加工

主要な製品とその材質

航空機部品:Al-Cu系
自動車部品(ホイール、サスペンションなど):Al-Mg-Si系

スポーツ用品:Al-Mg-Si系

相場価格

鍛造品は、鋳造品に比べて製造工程が多く、費用が高くなる傾向があります。

国内の主要なメーカー

株式会社神戸製鋼所
株式会社UACJ

海外の動向

海外では、航空宇宙産業や自動車産業を中心に、鍛造技術の研究開発が進んでいます。

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