アルミとステンレスの違いについて強度、錆のことや販売ルート、価格などを詳しく解説します。
アルミニウムとステンレスはどちらも錆びない美しい金属として、いろいろなところで使われていますが、それぞれの特性をまとめましたので、用途に適した金属を選ぶことができます。アルミニウムとステンレスの性質、違い、価格、販売ルートについて説明します。
アルミニウムの性質
アルミニウムは、軽量で耐食性に優れた金属として世界中で多く利用されています。
比重(軽さ)
アルミは非常に軽い金属であり、鉄の約3分の1の重量となっています。航空機、自動車、缶などの輸送機器や軽量化が必要な製品に多く使用されています。
アルミの比重は約2.7で、鉄(約7.8)やステンレス(約8.0)に比べて、非常に軽い金属です。
強度と加工性
アルミは、他の金属に比べて、柔らかくて、切削、曲げ、溶接などの加工に向いています。複雑な形状の製品を製造するのに適しています。
純アルミ(A1050など)は強度が低いですが、アルミ合金(A5052, A6061など)は強度があります。展延性が高く、曲げ加工やプレス加工に向いています。
耐食性
アルミは表面に酸化皮膜を形成して、腐食を防ぎます。アルミは錆びないのではなくて、もともと錆が見えない状態で、薄く表面に被膜ができるので、サビないと感じていますが、強酸性や強アルカリ性の環境では腐食する可能性があります。
表面に酸化皮膜(アルマイト層)が形成されるために、自然に耐食性が高くなります。ただし、塩分環境下では腐食(白サビ)が発生しやすいため、適切な表面処理が必要になります。
熱伝導率
アルミの熱伝導率は約237 W/m・Kと非常に高く、熱交換器やヒートシンクとして利用されます。ステンレスと比べて約10倍の熱伝導率を持っています。
アルミニウムは熱伝導率が高く、熱を伝えやすい性質があります。このため、調理器具やヒートシンクなどに利用されます。
リサイクル性
アルミはリサイクルが比較的簡単で、再生時の電力などのエネルギー消費も少ないため、環境に優しい素材となっています。

ステンレスの性質
ステンレス(SUS)は、鉄を主成分としてクロム(Cr)やニッケル(Ni)を添加した合金です。
比重(重さ)
ステンレスの比重は約8.0で、アルミニウムの約3倍の重量がありますのでアルミとの比較ては軽量化が求められる用途には向いていません。
強度と硬度
ステンレスはアルミよりも硬度が高く、引張強度も優れています(SUS304の引張強度は約520 MPa)。そのために耐摩耗性や剛性が求められる用途に適しています。
ステンレスは鉄にクロムなどを添加した合金であり、非常に高い強度と耐久性を持っています。
耐食性
ステンレスの特徴は高い耐食性にあります。クロム含有量が10.5%以上になると、表面に不動態皮膜が形成され、サビに強くなります。
特にSUS316は塩害にも強くて、海水環境でも使われています。
ステンレスはクロムによって優れた耐食性があります。水や空気中の酸素と反応して不動態皮膜を形成して錆びにくい性質があります。
耐熱性
ステンレスは高温環境でも強度を維持できるために高温下で使用される機器や部品に適しています。
熱伝導率
ステンレスの熱伝導率は約16 W/m・Kと低く、アルミの約1/10です。そのために調理器具などでは熱が均一に伝わりにくい特性があります。
美しい外観
ステンレスは光沢があり、美しい外観を持つために建築材料や装飾品にも使われています。
アルミとステンレスの違い
強度
ステンレスはアルミニウムよりもはるかに高い強度を持ちます。
アルミニウム:アルミ合金で向上するが全体的に低め
ステンレス:高強度で耐摩耗性が高い
耐食性
ステンレスは特に錆びにくく、過酷な環境下でも使用できます。
アルミニウム:自然の酸化被膜あり(塩分に弱い)
ステンレス:不動態皮膜により非常に強い
重量
アルミニウムはステンレスよりも軽量であり、重量が重要な要素となる場合に有利です。
アルミニウム:約2.7(軽い)
ステンレス:約8.0(重い)
加工性
アルミニウムは柔らかく加工しやすいですが、ステンレスは硬く加工にはより高い技術が必要です。
アルミニウム:軽くて加工しやすい
ステンレス:硬くて加工が難しい
熱伝導率
アルミニウム:約237 W/m・K(高い)
ステンレス:約16 W/m・K(低い)
価格
アルミニウム:ステンレスより安価
ステンレス:アルミより高価
アルミとステンレスの価格
原材料価格
アルミの原料であるボーキサイトは地球上に豊富にあり、電解精錬によって生産されています。
ステンレスは鉄鉱石とクロム、ニッケルなどの合金元素を必要とするため、材料コストが高くなります。
アルミニウム価格:1kgあたり約400~600円(品種・国際相場により変動)
ステンレス価格:1kgあたり約600~1000円(SUS304基準、ニッケル相場の影響を受ける)
加工コスト
アルミの加工費は、加工しやすいために比較的安価ですが、ステンレスの加工費は、硬度が高くて切削・溶接・研磨に手間がかかるため高めとなります。
アルミは価格は比較的安定しており、ステンレスよりも一般的に安価です。ただし、純度や合金の種類によって値段が変わってきます。
ステンレスは製造コストが高いために、アルミニウムよりも高価になります。特に、特殊な成分を含むステンレスは高価格になる傾向があります。
アルミとステンレスの販売ルート
アルミニウムの販売ルート
専門業者・金属販売店・専門商社・アルミ問屋:小ロットから購入可能
大手圧延メーカー:大量購入向けで少量・小口は販売していません。
ホームセンター:パイプや棒、板材を小売しています。
オンラインショップ(Amazon・モノタロウなど):DIYや試作向けです。
ステンレスの販売ルート
専門業者(ステンレス鋼材販売店):大型材の供給をしています。
金属加工会社:切断・加工済みの製品を提供しています。
オンラインショップ:SUS304・SUS430などの板材・棒材が購入可能です。
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