アマルガムって何、アルミニウムとか水銀と関係あるの?危険?

アルミ板 解説

アマルガムは歯科治療で使われることがありますが、アマルガムは水銀を含む合金の総称であり、その種類はかなり多くあります。アルミニウムや水銀と関係、その危険性について詳しく解説します。

アマルガムとは

アマルガムとは、水銀(Hg)を成分とする合金の総称のことです。水銀は常温では液体の金属ですが、ほかの多くの金属と混ざると合金となります。

金(Au)や銀(Ag)とのアマルガムが歯科治療に用いられてきました。水銀は特異な性質を持つのでアマルガムもその構成金属によって物理的や化学的特性を示します。

アルミニウムアマルガムとは

アルミニウム(Al)と水銀(Hg)が結合してできるのがアルミニウムアマルガムです。アルミの表面に水銀が接触することで形成される特殊な状態のことです。

純粋なアルミは空気中では安定しているのは、空気にふれることによって、アルミの表面に酸化アルミニウムの皮膜が形成されるためです。この皮膜が内部のアルミニウムを保護しているのでアルミは錆びにくく、反応しにくくなっています。

ところが、水銀がアルミニウムの表面に接触すると、酸化皮膜が破壊されて、アルミニウムと水銀が直接反応します。その結果、アルミニウムの表面にアマルガム層が形成されます。

アルミニウムアマルガムの特徴

アルミニウムアマルガムの特徴は、アルミニウムの強力な酸化反応を誘発することにあります。安定しているアルミニウムが、水銀によって活発に空気中の酸素や水と反応するようになります。

酸化(腐食)の促進

アルミニウムアマルガムとなると、アルミニウムの表面が水銀によって活性化されて、空気中の酸素や水分子と激しく反応して、白色の酸化アルミニウムや水酸化アルミニウムが生成されます。

反応は非常に速く進行し、まるでアルミニウムが「自己分解」していくかのように見えます。

アルミニウムの癌

急速な酸化反応は、「アルミニウムの癌」とも呼ばれます。アマルガムが形成されると、その部分から腐食が広がり、アルミニウム全体を侵食してしまうことがあります。

水銀は触媒

水銀はアルミニウムの酸化皮膜を破壊し、新たな酸化反応の場を提供することで、触媒的に作用します。ごく微量の水銀であっても、大量のアルミニウムを腐食させる可能性があります。

白い粉状物質

反応が進むと、アルミニウムの表面には白い粉状の物質(酸化アルミニウムや水酸化アルミニウム)が堆積します。

アルミニウムアマルガムのつくり方

アルミニウムアマルガムは実験室レベルでは比較的簡単に作ることができます。

水銀との接触

簡単な方法は、アルミニウムの表面に水銀を直接接触させることです。例えば、アルミニウム箔の上に少量の水銀を垂らすと、すぐに反応が始まります。

水銀塩水溶液

塩化水銀などの水銀塩の水溶液にアルミニウムを浸漬することでも、アルミニウムアマルガムが形成されます。アルミニウムが水銀イオンを還元して、金属水銀がアルミニウム表面に析出することでアマルガムが生成されます。

反応が始まるとアルミニウム表面が黒っぽく変色し、その後、白い粉状の生成物が現れ、急速に腐食が進行するのが観察できます。

アルミニウムアマルガムの用途

アルミニウムアマルガムは、その不安定性から一般的な材料としてはほとんど使用されませんが、その強力な還元作用を活かして、特定の化学反応の試薬として利用されることがあります。

有機合成における還元剤

有機化学の分野では、アルデヒドやケトンなどのカルボニル化合物を還元する際に、アルミニウムアマルガムが還元剤として用いられることがあります。例えば、ベンズアルデヒドをベンジルアルコールに還元する反応などがあります。

水素発生源

水との反応により水素ガスを発生させるため、水素発生源として利用されることもありますが、水銀の毒性があるため、より安全な代替手段が優先されます。

アルミニウムアマルガムの注意点

アルミニウムアマルガムでは、その反応性だけでなく、銀の毒性という重要な注意点があります。

水銀中毒の危険性です。水銀は人体にとって有害な重金属です。特に水銀蒸気は吸入することで神経系に深刻なダメージを与える可能性があります。

アルミニウムアマルガムが形成される過程で水銀が揮発する可能性があり、密閉された空間での取り扱いは極めて危険です。

環境汚染のリスクもあります。水銀は環境中に放出されると食物連鎖を通じて濃縮され、深刻な環境汚染を引き起こす可能性がありますので、水銀を含む物質の取り扱い、廃棄には厳格な規制が設けられています。

アルミニウム構造物への影響もあります。日常生活でアルミ製の製品や構造物に水銀が付着することは危険です。水銀温度計が破損して、その水銀がアルミニウム製の窓枠や食器などに触れると、アルミニウムが急速に腐食して、構造的な損傷を引き起こす可能性があります。航空機など、アルミニウム合金を多用する分野では、水銀の持ち込みが厳しく制限されています。

アルミニウムアマルガムは、アルミニウムを強力に腐食させるだけでなく、その生成過程や取り扱いにおいて水銀による健康被害や環境汚染のリスクがあって危険な物質です。

水銀とアルミニウムを意図的に接触させるようなことは絶対に避けてください

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